「想像以上に壮絶な大会でした」

　日本代表がカタール・ワールドカップ（W杯）のグループリーグ第3戦でスペイン代表を2-1で破ってから、12月1日で1年が経過した。FIFA（国際サッカー連盟）の公式サイトでは、日本代表MF田中碧へのインタビューを実施。1年前の歓喜について、また現在の心境について迫っている。

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　グループリーグ第1戦でドイツ代表を2-1で撃破。続くコスタリカ代表相手に0-1と敗戦し迎えたスペイン戦も、日本は先制点を許す展開となる。それでも後半3分に途中出場のMF堂安律が豪快なミドルシュートを放ち同点となった。

　日本の決勝弾が決まったのは、その3分後だった。堂安がグラウンダーのボールを放り込むと、ファーサイドに走り込んだ三笘薫が折り返す。最後は田中が詰めてネットを揺らしたが、三笘のボールタッチがゴールラインぎりぎりだったためVAR（ビデオ・アシスタント・レフェリー）の長い確認が入り、最終的に得点が認められたという流れだった。

　スペイン撃破の立役者の１人となった田中は「想像以上に壮絶な大会でした」と当時を振り返る。「あのゴールは、チーム全体が最終ラインから築き上げた、本当に総合的な努力の賜物だった。幸運にもボールが上手く落ちてきて、ゴールに流し込むことができた」と情景をなぞった。

　ゴール判定を待つ間も「正直なところ、あれこれ考えなかった」という。「レフェリーの判定がアウトだったとしても、ほかのチャンスが来ることは分かっていた。もしゴールが決まっていなくても、悔しさをあらわにしたり、落ち込んだりすることはなかったと思う」と、以外にも冷静な心境だったことを明かしている。

　そんなW杯での日本の強さについて田中は「あらゆる意味でチームとしての一体感があった。全員が完璧な準備をし、チームの勝利のために自分の役割を果たした」と回顧する。

「実際、W杯で勝利のカギを握ったのは、インパクトのある交代枠の選手たちだった。私にとっては、それがいかに日本が団結したチームであったかを物語っていると思う」

　FIFA公式も「田中碧が決めた決定的な2点目は、FIFA・W杯の歴史に残る素晴らしいゴールの1つとなった。三笘薫のアシストは当初ラインを越えたように見えたが、ゴールライン・テクノロジーによってわずかに入ったことが確認され、大会の歴史に名を刻んだ」と賛辞を改めて贈る。田中は改めて「ドイツとスペインに勝ったことで得た自信は、選手や国全体にとって大きなバネになったと思う」と記憶に残る試合が今も、日本の大きな影響を与えていることを自負していた。