文武両道に悩む高校生に大好評の「東大面談」とは? 東大サッカー部がオンラインサービス開始…現役大学生が助言【インタビュー】

東京大学運動会ア式蹴球部では、部員に直接勉強の相談ができる高校生向けのオンライン面談サービス「東大面談」を開始【写真提供:東京大学運動会ア式蹴球部】
東京大学運動会ア式蹴球部では、部員に直接勉強の相談ができる高校生向けのオンライン面談サービス「東大面談」を開始【写真提供:東京大学運動会ア式蹴球部】

「一番知りたいのは自分と同じ境遇の人のアドバイス」 サービス開始のきっかけ

 ベルギー1部シント=トロイデンVVとの提携など、近年先進的な活動を見せる東京大学運動会ア式蹴球部(体育会サッカー部。以下、ア式蹴球部)は先日、高校生を対象として、ア式蹴球部部員に直接勉強の相談ができるオンライン面談サービス「東大面談」を開始した。

 東大面談のホームページから面談したい部員を選び、一回30分ほどの面談を無料で受けられるサービスだ。「部活も勉強も全力で」をコンセプトに据えた今サービス。一体どのような経緯で開始へと至ったのか。プロジェクトに関わる部員と、実際に利用した高校生に話を伺った。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)

   ◇   ◇   ◇

「私は高校生の時、周りに部活を続けながら東大に合格した先輩がいませんでした。部活と勉強の両立について相談できる先輩がおらず、部活を辞めて勉強に専念すべきなのかな、と不安になりながら受験期を過ごしたのを覚えています」

 そう語るのは「東大面談」の立ち上げ責任者を務める長谷川希一さん(3年)だ。

「私は地方出身なので、これは地方ならではの問題なのかなと思っていたのですが、首都圏の高校生も同じような悩みを持っていると知りました。例えば年間2、30人東大合格者が出ているような学校でも、サッカー部からは0人、なんてことも多いです」

 文武両道について相談できる先輩がいない。この悩みが勉強と部活に励む高校生共通の悩みであると知り、「東大面談」のサービスを始めようと決めたという。

「部活で疲れた時はどうしていたんだろうとか、塾と部活をどうやってやりくりしていたんだろうといった疑問には、やっぱり大学生の生の声を聞くのが一番いいと思います。サッカーと勉強をどうやって両立させるか、一足早く悩んできた身として、そして今現在も部活と勉強を両立させている身として、僕たち大学サッカー部員だからこそ力になれることがあると思いました」

高校生向けのオンライン面談サービス「東大面談」の立ち上げ責任者を務める東京大学運動会ア式蹴球部3年のMF長谷川希一さん【写真:FOOTBALL ZONE】
高校生向けのオンライン面談サービス「東大面談」の立ち上げ責任者を務める東京大学運動会ア式蹴球部3年のMF長谷川希一さん【写真:FOOTBALL ZONE】

「友達にも勧めたい」高校生が語る、面談で変化した勉強習慣

「中学から高校に上がって、練習の強度が上がりました。それで、今までは帰宅後に勉強できていたのが、疲れて勉強に手がつかなくなってしまいました」

 都内の高校でサッカー部に所属する石居瑞生さん(高校1年生)はこのように語る。高校で練習の強度が上がり、部活で疲れて勉強ができなくなるなか、周りは徐々に受験ムードを漂わせ始め、焦りを感じていたという。

「高校生になったタイミングでみんな少しずつ受験を意識し始めたというか、雰囲気が変わってきているのを感じます。でも僕は勉強に打ち込めていなくて、このままでいいのかなと思っていました」

 そんななか、石居さんは父親から東大面談を勧められたという。

「きっかけは父の勧めでした。ア式蹴球部のSNSを見た父が、部員と面談できるサービスが始まったらしいからやってみたらどうだ、って。東大を目指したい気持ちもあったので、利用してみようと思いました」

「面談では、疲れた時ややる気が起きない時にどうしていたかをお聞きしました。部員の方からは、数学などの考える系ではなくて、英単語などの暗記系なら疲れていてもできるからお勧めだよとアドバイスをいただけました。面談後、実際にやってみて、これならできるかもと思い今でも続けています」

 東大面談を機に勉強習慣が変わったという石居さんは、今後もモチベーションが落ちそうな時に定期的に利用していきたいと語る。

「高校2年生は中だるみの時期、なんて言うと思いますし、僕もきっとそういう時期がくると思います。その時にはまた利用してモチベーションを上げるきっかけにしたいです。実際に東大面談を利用して僕はモチベーションが湧いたし、このサービスを友達にも勧めていきたいです」

 自分たちならではの特性を活かし、さまざまなサービスを展開するア式蹴球部。東大面談の今後の展望について、長谷川さんは語る。

「今後はこのサービスを東大の他部活に横展開させて、文武両道に励むすべての高校生の力になれるような取り組みに昇華させていきたいです。そのためにまず、ア式蹴球部でしっかり実績を作り、知名度を上げていければと思っています」

 ピッチ内外で大きな進化を続ける東京大学ア式蹴球部。今後のさらなる発展に注目だ。

(FOOTBALL ZONE編集部)

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