「かなりの勢いで危険」 浦和FWの“頭部肘打ち被害”を日本代表OBはどう見た? 中国MF側の故意の可能性は否定【見解】
【専門家の目|栗原勇蔵】武漢のほかの選手の行動を見ても「狙った」ものではない
浦和レッズのFW髙橋利樹は、11月29日に行われたAFCチャンピオンズリーグ(ACL)グループステージ第5節の武漢三鎮(中国)戦で相手選手との接触により、負傷交代した。元日本代表DF栗原勇蔵は「悪質には見えないけど危険」と見解を述べている。
浦和はFWブライアン・リンセンが獲得したPKをDFアレクサンダー・ショルツが決め、前半37分に先制した。その中で前半44分、中盤のルーズボールでバウンドしたボールをヘディングしようとした髙橋に対し、すれ違いざまに相手MFフー・チャオが右腕を髙橋の顔面に当て、さらに身体を回転させて左肩から左腕のあたりを当てた。
地面に倒れ込んだ髙橋は全く動かず、浦和の選手だけでなく相手選手からも担架を呼ぶアクションがあるなど浦和のメディカルスタッフがピッチに入り、そのまま担架で運び出された。サウジアラビア人レフェリーのマジェド・モハンメド・アルシャムラニ氏はイエローカードを提示したが、ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)の介入はなかった。
この後すぐに試合はハーフタイムに入ったが、その間に髙橋は脳震盪の疑いがあることによる交代とアナウンスがあった。そして救急車で搬送されたものの、意識はあるという情報までが入っていた。その後、浦和のラファル・ジャナスコーチは「ドクターから聞いた」話として、髙橋は「頭に肘打ちを受けていた」としていた。
日本代表OB栗原氏は、「そこまで悪質には見えないですけど、危険でした。映像で見ても、たしかに肘が頭に当たっていて、しかもかなりの勢いですから」と指摘。ただし、「その後の相手チームの反応(FWダヴィドソンがすぐに駆け寄り、DFジアン・ジーポンは担架を呼び込む)を見ていると狙った感じには見えなかったですね」と故意の可能性に関しては否定的な見解を述べていた。
栗原勇蔵
くりはら・ゆうぞう/1983年生まれ、神奈川県出身。横浜F・マリノスの下部組織で育ち、2002年にトップ昇格。元日本代表DF松田直樹、同DF中澤佑二の下でセンターバックとしての能力を磨くと、プロ5年目の06年から出場機会を増やし最終ラインに欠かせない選手へと成長した。日本代表としても活躍し、20試合3得点を記録。横浜FM一筋で18シーズンを過ごし、19年限りで現役を引退した。現在は横浜FMの「クラブシップ・キャプテン」として活動している。