浦和スコルジャ監督、Jリーグと欧州比較で見解 「日本のやり方のほうがいい」と語ったアプローチは?

退任が発表されたマチェイ・スコルジャ監督【写真:徳原隆元】
退任が発表されたマチェイ・スコルジャ監督【写真:徳原隆元】

守備の練習は「似ている」も、攻撃の練習は「より細かい指示が求められる」

 J1浦和レッズのマチェイ・スコルジャ監督は、11月23日に定例のオンライン会見を実施。今季限りでの退任が決まったが、Jリーグの特徴について選手の性格やチームの戦術、あるいはスタイルを貫く面について興味深い言葉を残した。

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 スコルジャ監督はポーランドリーグで4回優勝の実績を持ちながら今季、浦和の監督に就任。前任のリカルド・ロドリゲス監督のチームをブラッシュアップしながら、その体制で決勝進出を果たしていたAFCチャンピオンズリーグ(ACL)でサウジアラビアの強豪アル・ヒラルを破って浦和に3回目のアジア制覇をもたらした。リーグ戦でも最少失点級の守備力を維持しながら優勝争いに加わった。

 先日、国際サッカー連盟(FIFA)によるクラブワールドカップ(W杯)に向けたインタビューでもJリーグについて語っていたスコルジャ監督だが、この日は少し踏み込んだ話もした。「Jリーグとヨーロッパを比較すれば、プレー強度とフィジカル面に目が行く。戦術と技術は非常に高いレベルにあるが、そこは違いがある」と全体の印象を話した。

 一方で、浦和での指揮を通じて「例えば守備の練習をヨーロッパと比較すれば似ているだろう。しかし、攻撃の練習をするとより細かい指示が求められる。私は攻撃の基本的なルールをチームに与える。それは形だったり原則だったりするが、その中で選手たちが創造力を発揮するというやり方をしてきた。私の印象では、Jリーグのほうがより細かい攻撃のやり方を求められる」という印象を持ったと話す。

 今季の浦和は得点力不足に苦しんだ面があったが、その部分は指揮官が「私が今季で満足できなかったのはビルドアップからの攻撃面だった。もう少し時間があればという側面もある」という言葉にもつながるのだろう。

 また、スコルジャ監督が「チームを発展させるなら、日本のやり方のほうがいいだろう」と話したのは、クラブが監督を長い目で見る部分とスタイルを大切にする部分だった。

スコルジャ監督は川崎と新潟をリスペクト

「私の哲学では、最初の目的は試合に勝つこと。Jリーグで見られるのは、リスクのあるスタイルでプレーするチームがそれで負けたとしても、それを次の試合でも変えないこと。個人的にスタイルを貫くのは好きだが、それをポーランドでやって3連敗か4連敗すれば職を失う。そういう意味では、日本で仕事をするほうがしやすい。チームを発展させるなら、日本のやり方のほうがいいだろう。

 私は川崎フロンターレとアルビレックス新潟の監督をとてもリスペクトしている。すごくいいスタイルを持ったチームだと思う。やり方を変えていれば敗戦していた試合を勝てたかもしれないが、そうではなく自分のスタイルを貫くというやり方は好きだ。ヴィッセル神戸は非常にいいサッカーをして首位に立っているが、神戸のほうがより実戦的なサッカーをしているだろう。私はそこのバランスだと思う。いいスタイルを見せながら結果を残すのがベストだろう」

 スコルジャ監督は浦和を離れ、「非常に申し訳ない気持ちでいっぱいだが、今シーズンが終わったところで数か月は家族と一緒に過ごしたい。それが5か月か6か月か分からないが、それが終わったところでまた仕事をしたい」と今後の展望について話した。約1年だったが「今シーズン初めから日本で過ごしているが、非常に幸せな時間を送っている。素晴らしい国、文化があり親切な人に囲まれている」と、滞在期間への印象も話した。

 残り2試合のJ1リーグ戦で浦和は25日のアビスパ福岡戦がリーグ戦のホーム最終戦となり、12月3日には北海道コンサドーレ札幌アウェーで最終節を控える。しかし、ほかにもACLで2試合、クラブW杯でも1試合または3試合を戦うため、浦和でのスコルジャ監督の戦いはまだ続く。それでも、退任を発表した1つの節目としてJリーグでの経験について丁寧な言葉をつないで意見を話していた。

(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)



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