森保ジャパン“現在地”は「アジアのはるか先」 自信を得たプロ集団…英記者が感銘「最も興味深かったのは…」【コラム】

英記者が現在の日本代表に受けた感銘とは?【写真:Getty Images】
英記者が現在の日本代表に受けた感銘とは?【写真:Getty Images】

シリア戦でも久保らタレントの活躍で5-0と快勝

 森保一監督率いる日本代表は、11月16日に行われた北中米ワールドカップ(W杯)アジア2次予選のシリア代表戦で5-0の快勝を飾った。かつてアジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ(W杯)を7大会連続で現地取材中の英国人記者マイケル・チャーチ氏は、卓越したパフォーマンスを継続する日本の実力を称えつつ今後への期待も口にしている。

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 シリア戦に臨むにあたり、この試合は落とし穴になるかもしれないと考えていた。フィジカルの強さと個人のタレントを擁する相手に集中力を少しでも欠けば、サムライブルーは大きな代償を支払う可能性があった、と。

 しかし、森保一監督率いる現在の日本代表には現状に満足する気配はなく、非常に高いプロフェッショナリズムを持っていた。遠藤航がチームの中心に君臨し、久保建英は創造性の面でますます重要な役割を果たしている。この試合はシンプルに日本がギアを上げ、シリアを一蹴した。

 日本は圧勝したミャンマー戦(5-0)から9人の選手を入れ替えたが、驚きはGK鈴木彩艶の抜擢くらいだった。

 指揮官はいつも通りのオペレーションで、問題を引き起こす可能性のある相手に対してより慎重な戦術的アプローチをとった。その証拠に遠藤の隣には守田英正を起用した。

 実際にそこまでする必要はなかったが、それは今の日本代表がこの予選グループのライバルたち、そしておそらくはアジアのどのチームと比較してもはるか先をいっていることを物語っているといえるだろう。

 現在の森保ジャパンは精巧に調整されたモーターのように快調な音を鳴らしている。シリア戦は先制までに32分かかったが、そこからさらに多くのゴールが生まれたことに驚きはなかった。

 久保はこのチームでプレーメーカーの役割を担うに相応しい選手であることを証明した。ジッダで見せたパフォーマンスを見た森保監督も同じように感じているはずだ。シリアは彼にスペースを与えすぎた。彼はそのシリアのミスを最大限に利用し、ミドルシュートで見事な先制ゴールを決めた。

 三笘薫が欠場した左サイドでは、やや不慣れながらも、浅野拓磨がその穴を埋めた。日本の流れるような攻撃は健在で、バランスが大きく崩れるようなことはなかった。

 しかし、最も興味深かったのは最前線の上田綺世のパフォーマンスだった。森保監督は大阪のミャンマー戦でハットトリックを決めたストライカーをスタメンから外すことはできなかった。

 彼が決めた2得点はいずれも典型的なゴールゲッターのそれで、過去の日本代表が上手く活用することができなかったチャンスをモノにした形だった。フェイエノールトのFWは捕食本能の鋭さを示し、ボールを素早く動かすことを好んでいる。どんなディフェンスも彼を捕まえるのに苦労するだろう。

 これで2023年の活動は終了。森保監督と彼のチームはミッションを完了させた。勝点を取りこぼすことなく、10得点0失点で予選グループの首位に立っている。6月からの連勝を「8」に伸ばしたサムライブルーは大きな自信を持って1月のアジアカップに臨むことができるだろう。

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マイケル・チャーチ

アジアサッカーを幅広くカバーし、25年以上ジャーナリストとして活動する英国人ジャーナリスト。アジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ6大会連続で取材。日本代表や日本サッカー界の動向も長年追っている。現在はコラムニストとしても執筆。

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