好調の日本代表、遠藤航や伊東純也に不安要素? OB「どうなるか正直読めない」…今後を左右するポイントも力説【見解】
【専門家の目|金田喜稔】遠藤や伊東の「年齢による変化」に言及
森保一監督率いる日本代表(FIFAランキング18位)は、現地時間11月21日に中立地のサウジアラビア・ジッダで行われた2026年北中米ワールドカップ(W杯)アジア2次予選でシリア代表(同92位)と対戦し、5-0で勝利した。「天才ドリブラー」として1970年代から80年代にかけて活躍し、解説者として長年にわたって日本代表を追い続ける金田喜稔氏は、2023年の公式戦全10試合を終えた日本代表について「不安要素をあえて挙げるならば、遠藤航や伊東純也らの年齢と今後の状態だ」と指摘し、その理由について語っている。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)
◇ ◇ ◇
シリア戦で快勝し、23年の公式戦全10試合を終えた日本は、8勝1分1敗・36得点8失点の好成績を残した。24年は元日にタイ代表との国際親善試合、1月開幕のアジアカップ、3月と6月のW杯アジア2次予選などが続く。
カタールW杯後の強化が進む日本の歩みを金田氏は高く評価し、「ブラッシュアップができた1年」と称える。そのなかで「日本代表の不安要素をあえて挙げるならば、遠藤航や伊東純也らの年齢と今後の状態だ」と言及した。
「現在の主力クラスを見ると、遠藤(30歳)、伊東(30歳)、谷口彰悟(32歳)あたりは30歳を超えている。特に遠藤、伊東はどちらも外せない主軸。もし来年にW杯が開催されるなら、日本はかなり良い年齢バランスとコンディションで戦えると思うが、3年後の26年となった時にどうかが問題だ。コンディションは30歳オーバーに限った話ではないが、より年齢による変化に不安があるのは事実で、どうなるかは正直読めない」
カタールW杯のフィールドプレーヤーでは、吉田麻也(当時34歳)、長友佑都(当時36歳)、酒井宏樹(当時32歳)、谷口(当時31歳)、柴崎岳(当時30歳)の5人が30歳オーバーでメンバー入りし、ベスト16に貢献した。
世界的に見ても30代が活躍するケースは多いだけに、「年齢と状態の話はごくごく普通の話。30代でさらに伸びて輝く選手もいれば、急激にパフォーマンスが低下する選手もいるのが現実だ。どんなチームでも同様の懸念はあるし、日本だけの話でもない。それに3年でさらに経験を積み、技術に磨きをかけ、熟練プレーヤーとして活躍する可能性も大いにある」と金田氏は続けた。
パリ五輪世代やU-17日本代表世代から「数人がW杯メンバーに滑り込んでくるはず」
遠藤や伊東らの今後を左右するポイントとして、金田氏は「所属クラブでの出場機会」を挙げた。
「結局、30代でどうなるかは個人差があるので読めないが、いずにせよ大事なのは所属クラブでどれだけ出場機会を得られるかだ。たとえ海外のビッグクラブに在籍していても、出場する・しないで、コンディションや成長具合は大きく変わる。試合に出場しなければ、スタミナ、コンディション、プレーの鋭さなどは維持できないし、練習だけでは限界がある。できるだけ高いレベルに身を置き、ある程度コンスタントに出場できる状況を維持しながら、26年W杯まで持っていけるかだろう」
一方で金田氏は若い世代に注目し、今後3年間で日本代表の戦力は維持できると見ている。
「今後、現在の中堅組、パリ五輪を目指すU-22日本代表世代、U-17日本代表世代からどれだけ台頭するか。実際、数年で主力メンバーは様変わりするし、これまでのW杯でも、チーム作りのなかでメンバーの変遷はあった。いわゆる新陳代謝や世代交代だが、今の森保ジャパンも当然起こるだろう」
カタールW杯では三笘薫や田中碧らが活躍し、その名を世界に轟かせた。金田氏は「下の世代から突き上げは確実にあるはずで、カタールW杯での三笘や田中のようなブレイク選手も出てくるだろう。パリ五輪世代やU-17世代には、特大のポテンシャルを秘めた選手もおり、成長を続けていけば新たに数人はW杯メンバーに滑り込んでくるはずだ」と強調し、新戦力の台頭に期待を寄せていた。
金田喜稔
かねだ・のぶとし/1958年生まれ、広島県出身。現役時代は天才ドリブラーとして知られ、中央大学在籍時の77年6月の韓国戦で日本代表にデビューし初ゴールも記録。「19歳119日」で決めたこのゴールは、今も国際Aマッチでの歴代最年少得点として破られていない。日産自動車(現・横浜FM)の黄金期を支え、91年に現役を引退。Jリーグ開幕以降は解説者として活躍。玄人好みの技術論に定評がある。