圧倒のシリア戦…「5ゴールで十分」な理由とは? 日本代表OBが指摘「損失のほうが明らかに大きい」【見解】

細谷真大もA代表初ゴールを決めた【写真:Getty Images】
細谷真大もA代表初ゴールを決めた【写真:Getty Images】

【専門家の目|金田喜稔】シリア戦ではFW細谷が代表初ゴール

 森保一監督率いる日本代表(FIFAランキング18位)は、現地時間11月21日に中立地のサウジアラビア・ジッダで行われた北中米ワールドカップ(W杯)アジア2次予選でシリア代表(同92位)と対戦し、5-0で勝利した。「天才ドリブラー」として1970年代から80年代にかけて活躍し、解説者として長年にわたって日本代表を追い続ける金田喜稔氏は、攻守両面で圧倒したシリア戦について「5点で十分だと思っている」と持論を展開した。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)

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 シリア戦ではMF久保建英の先制ゴールを皮切りに、FW上田綺世が2ゴール、DF菅原由勢とFW細谷真大も1ゴールずつを挙げて5-0と完勝した。「5点以上取れたという声もあるかもしれないが、5点で十分だと思っている」と語る金田氏は、その理由について次のように語っている。

「確かに1点差であれば危ない展開だが、点差がある程度開き、実力差もそれなりにあるなかで、無茶をしなくてもいい展開だった。前半だけで3点を取ったわけで、後半は疲労を溜めないこと、怪我をしないことも大事だった。例えば、がむしゃらにゴールを狙い10ゴールを挙げても、主力選手が大怪我をしたら損失のほうが明らかに大きい」

 現在、森保ジャパンでは負傷者が相次いでいる。11月シリーズで招集外となったDF板倉滉、DF橋岡大樹、MF旗手怜央、MF中村敬斗をはじめ、招集後にMF川辺駿、MF伊藤敦樹、FW前田大然は不参加が決まり、MF三笘薫は来日後に離脱。さらに16日のミャンマー戦ではMF鎌田大地が腰を痛めて途中交代していた。

 そうした状況も踏まえて、金田氏はシリア戦の5ゴールを上々と評価している。

「シリア戦のような展開で途中から出場する選手は、周りが思う以上に難しい状況にある。選手本人は当然アピールしたいわけだが、点差が離れて相手のプレーも荒くなりやすいなかで、無理をすると怪我のリスクがどんどん高まってくる。チームとしては、リードを守りながら隙があればゴールを狙うぐらいのスタンス。チャンスがあればゴールは狙えばいいわけだが、無理せずに快勝という意味では、5ゴールでも十分な結果だ」

 2023年の公式戦を終えた日本代表は、24年1月1日の国際親善試合でタイ代表と対戦。その後は同月アジアカップに臨み、3月と6月にはW杯アジア2次予選の試合を控えている。「怪我人が復帰し、トップフォームで代表に招集された時、ポジション争いはさらに激化するし、ハイレベルな競争となる。プラスの要素しかなく、日本代表の総合力の高さを感じる」と期待を膨らませていた。

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金田喜稔

かねだ・のぶとし/1958年生まれ、広島県出身。現役時代は天才ドリブラーとして知られ、中央大学在籍時の77年6月の韓国戦で日本代表にデビューし初ゴールも記録。「19歳119日」で決めたこのゴールは、今も国際Aマッチでの歴代最年少得点として破られていない。日産自動車(現・横浜FM)の黄金期を支え、91年に現役を引退。Jリーグ開幕以降は解説者として活躍。玄人好みの技術論に定評がある。

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