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カタールW杯前後で負傷離脱期間に差 海外調査公表…「選手たち限界」と専門家が警鐘
W杯でプレーした選手たちの負傷離脱期間が平均で8日ほど伸びる
2022年カタール・ワールドカップ(W杯)は史上初の冬季開催のW杯となった。欧州クラブに所属する選手たちにとってはシーズン途中での大会ということもあり、過密日程やシーズン後半戦に向けての疲労が懸念されていた。調査によると、出場した選手は大会後に負傷離脱期間が伸びていたことなどが明らかになっており、選手たちの健康を優先すべきとの警鐘が鳴らされている。英紙「デイリー・メール」が報じた。
世界的保険会社のハウデンが公表した報告書によると、W杯で負傷した選手の離脱期間はカタールW杯前の2022年10月の時点で平均11.35日だったのに対し、カタールW杯後の2023年1月の調査では平均19.41日に増加したという。W杯でプレーした選手たちの負傷離脱期間が平均で8日ほど伸びたことになる。
リーグ別に大会後の負傷者の内訳を見ると、イングランドのプレミアリーグが最多49人。次いでドイツのブンデスリーガで46人、スペインのラ・リーガで18人、イタリアのセリエAで12人だった。
また、欧州5大リーグ(イングランド、スペイン、ドイツ、イタリア、フランス)の全クラブを対象にした調査によれば、選手の負傷によってかかるコストが2021-22シーズンから2022-23シーズンにかけて4億8400万ポンド(約835億円)から6億1600万ポンド(約1150億円)へ、およそ30%も増加したというデータも出ている。
これらはトップレベルでプレーする選手たちの肉体的な疲労が危険な域に達していることを示唆していると言えるだろう。2034年のW杯がサウジアラビアで再び冬季開催となる可能性が高まっているなか、イングランドプロサッカー協会(PFA)のチーフエグゼクティブを務めるマヘタ・モランゴ氏は「このレポートは新たな警鐘だ」と訴えていた。
「これらは選手たちの健康に対して、情け容赦ないカレンダーの現実を示している。クラブレベルでも国際レベルでも競技日程は拡大し続けていて、選手たちはもう限界を超えようとしている。
カタールW杯が選手たちに与えた影響についてしっかりと評価しないまま、再びサウジアラビアで冬のW杯を開催するような決断は驚きとして言いようがない。これは持続不可能なものだ。選手たちは文字どおり、限界にきているんだ」
モランゴ氏はさらに「このままでは選手のキャリアは短くなり、クラブは多額の金銭的損失を被り、長期的なファンを失うリスクすらある」と指摘。「誰にもメリットのない状況に直面している。ブレーキを踏まなければいけない時がきている」とサッカー全体で状況の改善に取り組む必要性を強調していた。
(FOOTBALL ZONE編集部)