ハットトリックを達成…上田綺世の新エース物語序章の幕開け 熾烈1トップ争いで“伸びしろ”感じる存在感
上田綺世が代表初のハットトリックを達成
日本代表は11月16日、2026年北中米ワールドカップ(W杯)アジア2次予選の初戦でミャンマー代表と対戦し、5-0の快勝を収めた。1トップに起用されたFW上田綺世が代表初となるハットトリックを達成。日本代表の通算24人目で、W杯予選では7人目の快挙となった。1トップとして期待され続けてきた上田がW杯予選で結果を残し、新エース物語の序章が始まる。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小杉舞)
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大阪の地で主役となった。相手がブロックを引いて“6バック”のような形で守ってくるなか、上田の決定力が日本を救った。
「(相手のブロックは)思っていた以上ではあった。試合前の相手の監督会見の内容もチラッと聞きましたけど、勝ちに来ているわけじゃないと。5-0で負けていようが時間も稼ぐ。そこまでしてくるとは思わなかったので、逆にやりづらかった。レベルが低いと言えばそれまでかもしれないけど、1回10点取って勝った(2021年ホーム戦/10-0)からと言って次もというわけにもいかない」
勝利を放棄して割り切った相手に立ち上がりは苦戦した。それでも、共通意識として「立ち上がり10分での得点」があったなかで徐々にチャンスを演出。それをモノにしたのが上田だった。前半11 分、MF南野拓実からの浮き球のパスにヘディングで合わせて先制点を奪うと、2-0で迎えた同アディショナルタイム、MF堂安律のスルーパスに抜け出して2得点目をマーク。さらに後半5分、再び南野からのパスからゴールネットを揺らし、代表初となるハットトリックを達成した。
「ホッとしているのが正直なところ。結果もそうだし、初戦に勝てたので。早いタイミングでの先制点がああいう相手との戦いはポイントになると思っていたので、自分で取れて良かったと思います」
1トップ争いは熾烈のなか、チームを救う役割が求められた。「FWは点を取るのが本質」と言い続けてきた上田がしっかりと体現。今シリーズは古橋亨梧と前田大然が不参加となり、浅野拓磨とパリ五輪世代の細谷真大がメンバー入りした。浅野はチームでも好調を維持しており、9月、10月シリーズでも存在感のあるプレーをしていた。そのなかで上田には多少のプレッシャーもあっただろう。自らの力で跳ね返し、エース候補として君臨した。
フェイエノールトでは「自分にないもの」を求められているという。自身のプレースタイルを柔軟に対応することへ挑戦している。それが上田の伸びしろでまだまだ成長が見込めるということ。ここから上田のエース物語がスタートする。W杯予選を自らの力で勝利に導き、本大会につなげるはずだ。