南野、堂安、鎌田で呼ぶべきは? 日本代表OBが11月のW杯予選メンバー選考に提言「もっと上のレベルでやってもらわないと」【見解】
【専門家の目|栗原勇蔵】上田綺世をエースストライカー候補に指名
森保一監督率いる日本代表は、11月からスタートする北中米ワールドカップ(W杯)のアジア2次予選で16日にミャンマー代表(パナソニックスタジアム吹田)、21日にシリア代表(プリンス・アブドゥッラー・アル・ファイサル・スタジアム)と対戦する。11月8日にメンバー発表を控えるなか、W杯予選出場の経験を持つ元日本代表DF栗原勇蔵氏は、「調子のいい選手を使うべき」との見解を示している。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)
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日本(FIFAランキング18位)はアジア2次予選のグループBでシリア(同92位)、北朝鮮(同115位)、ミャンマー(同158位)と同居。FIFAランキング上は“格下”との対戦となる。
初戦のミャンマー戦をホームで戦ったあと、中立地のサウジアラビアでシリアと対戦予定。2014年のブラジルW杯のアジア3次予選と最終予選を経験している日本代表OBの栗原氏は、「ホームでは勝ち点3、アウェーでは最低勝ち点1が求められる」と“ノルマ”を課す。
足首の手術を受けたDF板倉滉(ボルシアMG)、右太もも裏を痛めたMF旗手怜央(セルティック)は招集が難しいとされるなか、どのようなメンバーを招集し、使っていくべきか。栗原氏は「2次予選は勝ち上がることはもちろん、調子のいい選手を使って経験を積ませたり、新しい選手を発掘することも大切。それで活躍すれば選手層も必然と厚くなる」と前置きしたうえで、「DFは経験を積みにくい。主力の冨安(健洋)と板倉は経験豊富なので、ほかの選手を使うチャンス。10月シリーズで存在感を示した町田浩樹(ロイヤル・ユニオン・サン=ジロワーズ)に経験を積ませたいところです」と語った。
今の森保ジャパンはMF伊東純也(スタッド・ランス)やMF三笘薫(ブライトン)を中心に、どこからでも攻められる状況にある一方で、FW大迫勇也(ヴィッセル神戸)以降はいわゆる“エースストライカー”と呼べる選手がいない。栗原氏は「やはりエースがいるに越したことはない」としたうえで、その候補にFW上田綺世(フェイエノールト)を指名する。
「常連組ではありますけど、上田あたりはしっかり使って、得点を取る癖をつけてほしい。軸でやってもらいたい選手なので、アジアのこのレベルでは止められないというような活躍をしてほしい。そうすれば、日本はワンランク、ツーランク上に行けるはず。中島大嘉(名古屋グランパス)のようなタイプが出てきたら面白いですけど、今は新しい選手を呼ぶのはなかなか勇気がいることでしょう」
鎌田のプレースタイルは一線を画す
今回の選考では、10月シリーズで招集が見送られたMF堂安律(フライブルク)とMF鎌田大地(ラツィオ)が選出となるのか、また前回カタールW杯以来の復帰を果たしたMF南野拓実(ASモナコ)を継続的に呼ぶのかも注目が集まる。
「南野や堂安は大事なピースの1つで、ラージグループには当然入っています。ただ、彼らの実力や経験値を考えれば、アジア2次予選に必要な選手ではない。調子を上げさせる意味で使っていく作戦もあるとは思いますけど、もっと上のレベルでやってもらわないと困るし、必要な時に選べばいいので今回は無理に呼ばなくていいと思います。鎌田に関しては、鎌田中心の戦術ならもっと輝けるはずですけど、代表では機動力も重視されるので難しさがあります。森保監督が鎌田オプションを考えているのか、代表のやり方に合わせてくれよというスタンスなのか。後者だと少し存在価値が落ちてしまう。ただ、鎌田にしかないものがあって、流れを変えることができるので、メンバーに入れておきたい選手です」
11月8日のメンバー発表では、どのような顔ぶれが並ぶだろうか。
(FOOTBALL ZONE編集部)
栗原勇蔵
くりはら・ゆうぞう/1983年生まれ、神奈川県出身。横浜F・マリノスの下部組織で育ち、2002年にトップ昇格。元日本代表DF松田直樹、同DF中澤佑二の下でセンターバックとしての能力を磨くと、プロ5年目の06年から出場機会を増やし最終ラインに欠かせない選手へと成長した。日本代表としても活躍し、20試合3得点を記録。横浜FM一筋で18シーズンを過ごし、19年限りで現役を引退した。現在は横浜FMの「クラブシップ・キャプテン」として活動している。