日本代表は「2026年W杯優勝を目標に掲げていい」 OBが大胆提言「例えばワールドクラスが台頭すれば…」【見解】
【専門家の目|金田喜稔】JFAの目標は「2030年までにベスト4」「2050年までに優勝」
森保一監督率いる日本代表は、10月13日にカナダ代表(4-1)、17日にチュニジア代表(2-0)と戦い、2連勝で10月シリーズを終えた。「天才ドリブラー」として1970年代から80年代にかけて活躍し、解説者として長年にわたって日本代表を追い続ける金田喜稔氏は、好調をキープする日本代表について「2026年の北中米ワールドカップ(W杯)では優勝を目標に掲げてもいい」と大胆提言をしている。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)
◇ ◇ ◇
日本サッカー協会(JFA)は中長期のさまざまな目標を立てている。そのなかに「日本代表はW杯に出場し続け、2030年までにベスト4に入る」「2050年までにW杯を日本で開催し、日本代表チームはその大会で優勝チームになる」なども含まれ、具体的な目標に向けて強化を続けてきた。
直近6連勝で、ドイツ代表やトルコ代表も撃破するなど好調をキープする日本代表について、金田氏は「攻守の切り替えが早く、ルーズボールに対しても寄せるだけじゃなく、奪い切るところまで考えて全員がプレーしている。球際での粘り強さを全員が有しているからこそ、今のサッカーもできている。攻撃の形もバリエーションが増しており、カウンターだけでなく、ポゼッションからの崩しも幅が広がり、チームとして攻守が機能している」と高い評価を与える。
その一方、「2026年の北中米W杯では優勝を目標に掲げてもいい」と大胆な提言もしている。
「もちろん現実的には、日本にとって史上初となるW杯ベスト8が目標だろうし、初めての到達を目指すという意味では極めて自然だ。ただ今の日本代表は大きな飛躍を遂げている最中で、さまざまな面で新たなフェーズに入った感がある。であれば、目標は高ければ高いほどいい。少なくとも22年のカタールW杯の時より、チーム全体と個々のプレーの幅、チームコンセプトへの理解度、目標意識など、あらゆる面で上回っている印象だ。実際、ここのところピッチで表現されているサッカーもそれを物語っている」
日本代表の改善点も指摘「FWには絶対的なストライカーがいない」
もっとも、金田氏も日本サッカーの未来を楽観視しているわけではない。「もちろん、日本代表にはまだまだ課題もあるし、改善点も少なくない」と指摘する。
「一例だが、FWには絶対的なストライカーがいない。浅野拓磨、上田綺世、古橋亨梧、南野拓実などが熾烈なポジション争いを繰り広げているし、それぞれ個性があってレベルも高いが、絶対的な存在がいるかと言えば疑問符が付く。例えばワールドクラスのFWが台頭すれば、さらに日本はスケールアップを遂げるし、攻守に一層隙の少ないチームになる」
日本代表のポテンシャルに期待を抱くからこそ、金田氏は「26年W杯優勝」という高い目標のなかでさらなる成長を切望している。
「次のW杯まで3年近く時間もあるし、チームや個人の好不調の波、怪我人、世代交代などでメンバーの入れ替わりもあるだろうが、今の森保ジャパンを見ていると26年W杯優勝という高い目標を設け、強化していくのがいいと思うし、それだけの水準にあると思う」
W杯アジア2次予選が11月からスタート。森保ジャパンは同16日の第1節でミャンマー(ホーム/パナソニックスタジアム吹田)、同21日の第2節でシリア(アウェー/未定)と戦う。
金田喜稔
かねだ・のぶとし/1958年生まれ、広島県出身。現役時代は天才ドリブラーとして知られ、中央大学在籍時の77年6月の韓国戦で日本代表にデビューし初ゴールも記録。「19歳119日」で決めたこのゴールは、今も国際Aマッチでの歴代最年少得点として破られていない。日産自動車(現・横浜FM)の黄金期を支え、91年に現役を引退。Jリーグ開幕以降は解説者として活躍。玄人好みの技術論に定評がある。