中村俊輔伝説 今もグラスゴーで語り継がれる、2本のフリーキックの奇跡
「俊輔はどうしてる?」
「日本人かい?」
グラスゴー・セントラル駅からセルティック・パークに向うタクシーの中、運転手がそうたずねてきた。
“そうだ”と答えると、マットと名乗った運転手はすかさず「俊輔はどうしてる?」と聞いた。
とはいっても、彼は中村俊輔が2013年シーズン、J1のMVPに輝いたことを知っていた。俊輔の基本的な動向は今でも追っているという。ただ、もう少し生の様子が知りたいのだ。
そして、「もう36歳だろ? それでMVPとはすごい。ところで今でもあのフリーキックの切れ味はそのままなのかい?」と、物心ついた時にはセルティックが大好きになっていたという、還暦間近のタクシー運転手が最も気になることをたずねてきた。
あのフリーキック。それはグラスゴーのセルティック・サポーターにとっては2006年9月13日にオールド・トラッフォード、11月21日にセルティック・パークでゴールラインを割った2本のフリーキックに特定される。
それは欧州CLグループ戦、同組最強のマンチェスター・U相手に、その決めた順序でいうと、アウェイ&ホームで炸裂した2発のフリーキックだ。