久保建英は「10番でいい」 日本代表OBが認める存在感と“華”、トップ下での課題は?【見解】
【専門家の目|栗原勇蔵】常に仕掛ける久保は10番を背負っても「文句を言われない存在」
森保一監督率いる日本代表(FIFAランキング19位)は、10月17日に行われたチュニジア代表(同29位)との国際親善試合で2-0と勝利した。トップ下でスタメン出場して後半37分までプレーしたMF久保建英(レアル・ソシエダ)に関して、元日本代表DF栗原勇蔵氏は10月シリーズでは不在だった「10番」に推している。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)
◇ ◇ ◇
10月13日のカナダ戦(4-1)では出番がなかった久保は、チュニジア戦でスタメン出場。トップ下に入り、ピッチ中央から左右のサイドまで幅広くポジションを取ってゴールを目指した。
相手の堅い守備に苦戦していたなか、前半43分に久保が先制点を演出。縦にMF旗手怜央(セルティック)へパスを入れ、そこから抜け出したFW古橋亨梧(セルティック)につながり、先制ゴールを奪った。1-0の後半24分には左サイドでボールを受けた久保が相手DFを剥がし、ペナルティーエリア手前まで前進。ペナルティーエリア内ではMF守田英正(スポルティング)と、FW上田綺世(フェイエノールト)が潰れ役となり、フリーのMF伊東純也(スタッド・ランス)がダイレクトでゴールネットを揺らした。
シュートも計3本放った久保は、後半37分までプレー。日本代表OB栗原氏は「三笘(薫)もそうですけど、久保はボールを持った時に安パイにボールをつなぐのではなく、(ボールを)取られるのを怖がらないで、常に相手に突っかけていく。相手からすればやっぱり怖いし、ラインを下げざるを得なくなります。そういう強気な姿勢は周りも『自分もやれるぞ』『やらなきゃ』という気持ちになるし、彼が引っ張っている攻撃の姿勢はすごく大事。例えば旗手はそれが足りなかったと感じました」と評価した。
10月シリーズでは、9月シリーズで10番を背負ったMF堂安律(フライブルク)の招集が見送られたこともあり、MF南野拓実(ASモナコ)が代表復帰したなかでも10番は“空き番”だった。栗原氏は、「10番は存在感も踏まえて久保でいいと思います」と語る。
「堂安や鎌田(大地/ラツィオ)がいればもちろんオプションも増えますけど、コンディションが良くない選手は呼ぶ必要はない。10番だからと言って絶対にスタメンでなくてはいけないわけでもないし、久保は華があって誰にも文句を言われない存在だと思います。チュニジア戦で言えばキレはあったけど、やっぱり右(サイド)のほうがやりやすいはず。古橋とかともう少し絡めるといい。右から左へ行ったり、それを見せておいて縦に行ったりするのが久保の特徴。トップ下だと多少やりづらいというか、やりたいこと、やれることが限定されてしまう気はします」
所属クラブのレアル・ソシエダでも充実のプレーを見せる久保。11月のワールドカップ(W杯)アジア2次予選以降、どこで起用され、どのようなプレーを見せるのか注目が集まる。
栗原勇蔵
くりはら・ゆうぞう/1983年生まれ、神奈川県出身。横浜F・マリノスの下部組織で育ち、2002年にトップ昇格。元日本代表DF松田直樹、同DF中澤佑二の下でセンターバックとしての能力を磨くと、プロ5年目の06年から出場機会を増やし最終ラインに欠かせない選手へと成長した。日本代表としても活躍し、20試合3得点を記録。横浜FM一筋で18シーズンを過ごし、19年限りで現役を引退した。現在は横浜FMの「クラブシップ・キャプテン」として活動している。