浦和の“マジカルスタジアム”が生んだ逆転劇 スコルジャ監督が実感「私が特別に呼びかけなくても駆けつけてくれる」
初戦のビハインドを逆転して浦和が決勝へ
浦和レッズは10月15日のルヴァンカップ(杯)準決勝第2戦で横浜F・マリノスをホームに迎え撃ち、DFアレクサンダー・ショルツが2回のPKを決めて2-0の勝利。初戦のビハインドを逆転して決勝進出に、マチェイ・スコルジャ監督は「我々にとって『マジカルスタジアム』だと、改めて言える」と、ホームゲームの恩恵に感謝の言葉を送った。
浦和は11日の初戦で0-1の敗戦を喫し、ホームでのリターンマッチになった。負傷者も多く、U-22日本代表にDF大畑歩夢が招集されているなかで初戦の退場処分で出場停止になったDF酒井宏樹の右サイドバックには、MF関根貴大をコンバートした。指揮官は「その理由を説明しようとすると、会見の時間が足りなくなると思います」と笑ったが、「今日の試合がホームゲームであり、我々はゴールを決めないといけない、攻撃的にプレーしないといけないということで、最も攻撃的なタカ(関根)をサイドバックに置くオプションにした」と話した。
その関根は前半15分にDFアレクサンダー・ショルツからのパスを引き出してサイドチェンジを通し、MF早川隼平の幻のゴールとなった際どい場面を演出するなど躍動。ショルツも「オフェンシブな選手を置くと、そこが良い要素になるんでしょうね。ポジショニングも良いので。普通のサイドバックを置くと生まれてこない部分がある」と、FWエウベルと対面するポジションに送り込むリスクを覚悟で攻撃的な関根を配置した効果を話した。
無得点のまま時間が流れた後半18分、早川が獲得したPKをショルツが決めた。すると、2戦合計で同点に追いついたスタジアムは大歓声に包まれ、強烈な後押しの空気に包まれた。ショルツもこの瞬間について「身体にほとばしる素晴らしいセンセーションですね。このスタジアムが生む感覚、このファンの感覚が生んでくれる要素だと思う」と話した。
伝統的にカップ戦の2戦合計方式、それも第2戦のホームゲームでビハインドを跳ね返してきた浦和は、過去に所属してきた選手たちも「1点さえ取ってしまえば、一気にスタジアムの雰囲気が変わる」と話してきた。この日もまた、その歴史は繰り返された。DFマリウス・ホイブラーテンもまた、「試合を通じてマリノスがどんどんナーバスになっている所が見えたと思う。それをサポーターも手伝ってくれました。埼スタだと勝率が高い。今日のエネルギーと強度は、相手にとってレッズのホームで戦うのは大変でしょうね」と、相手に与えた影響を話した。
その後も攻撃を続けた浦和は後半終了間際、DF荻原拓也のクロスが相手のハンドを誘いPKを獲得。2本目もショルツが決めて2戦合計スコアを逆転した。その後のピンチをGK西川周作のファインセーブもあり逃げ切ると、試合終了のホイッスルと共に歓喜の声が爆発した。
スコルジャ監督は、試合2日前の定例会見で「今のチームには絶対に諦めないというDNAがある。逆境が厳しければ厳しいほど、モチベーションが上がってくる」とチームのメンタリティーについて話していた。そして「12人で戦えるという確信がある。サポーターのみなさんはともに戦ってくれると信じている。できれば満員のスタジアムで戦いたい」と呼び掛けていた。
その結果、浦和によると2日間で6000枚以上のチケットが販売されたという。そして、試合当日の12時の時点で2万8687枚の販売数だったところから、17時キックオフの試合での来場者は29504人。チケットを購入したものの来場できなかった人も一定数いるとみられることから、ギリギリで駆け付けたサポーターも少なからずいたようだ。
スコルジャ監督は「チケットの売り上げに対して、私の影響を過大評価していると思いますよ。私が特別に呼びかけなくても、重要な試合にはサポーターは駆けつけてくれる」と笑ったが、「今日はクラブにとって、素晴らしい夜となりました。これはファン・サポーターのみなさんが素晴らしい雰囲気を作ってくれた結果だと思います。このスタジアムが我々にとって『マジカルスタジアム』だと、改めて言えると思います」と、ホームでの大声援が勝利を呼び込む要因になったと感謝の言葉を残していた。