浦和17歳MF、PK獲得でルヴァン杯決勝進出に貢献 “強行出場”に懸けた思い「タイトルを取りたい」

横浜FMとの第2戦でPKを獲得した早川隼平【写真:Getty Images】
横浜FMとの第2戦でPKを獲得した早川隼平【写真:Getty Images】

早川は負傷を抱えるなかで強行出場

 浦和レッズのMF早川隼平は、10月15日に行われたルヴァンカップ準決勝第2戦の横浜F・マリノス戦にスタメン出場。11日の初戦で負傷交代したところからの強行出場は、ウォーミングアップで最終チェックをする状態だったが、PK獲得でチームの逆転突破を導いた。

 ルヴァンカップには、年末時点で21歳以下の日本人選手を必ず1人以上スタメンに含めないとならないというレギュレーションがある。今季、ユースチーム所属ながら2種登録され、シーズン中にプロ契約となった17歳の早川は浦和にとって、特にGK鈴木彩艶が夏に海外移籍したことからも準々決勝以降ではそのレギュレーションを満たしたうえでの戦力として貴重な存在になった。

 しかし、10月11日の初戦(0-1)では、開始15分ほどでコーナーキックでの競り合いで左足の足首付近を負傷。すぐに交代を余儀なくされていた。中3日のゲームに出場も危ぶまれたが、マチェイ・スコルジャ監督からは状態を確かめる言葉もあり、「出られるなら出たい気持ちはもちろんだった」という必死の治療を経て、前日練習に復帰。この第2戦でスタメンに名を連ねた。

 それでも、ウォーミングアップでは攻撃陣がシュート練習をする際に全体から外れ、ヴォイテク・イグナチュクコーチと確認する姿も。早川は「1回、中で最終チェックというのもあったし、自分としても負荷をかけたくなかった」と、その状態が強行出場だったことを明かした。

 その状態でもピッチ内ではトップ下でスタメン出場すると積極的なプレーを見せ、前半15分にはFWホセ・カンテのポストプレーからシュートをゴール内へ。しかし、これは早川のポジションについてビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)が確認。際どい判定で時間を要したが、オフサイドでゴールは取り消しになった。2戦合計スコアを同点としたかという場面だったが「シュートもしっかり当たっていなかったし、仕方ないかという感じだった」と、すぐに気持ちを切り替えた。

ニューヒーロー賞は「意識はしてなかった」

 ハーフタイムを挟んで左サイドにポジションを変えていた早川は後半16分、DF荻原拓也のクロスをGK一森純が弾いたボールに反応。中央に持ち出したところを背後から永戸が倒してPKの判定になった。「セカンドボールを相手に先に触られたらノーチャンスなので、上手く反応できて良かった」と話す。そのPKをアレクサンダー・ショルツが決めて同点に追い付き、早川は途中交代。チームは試合終了間際に再びショルツがPKを決め、2戦合計スコア2-1と逆転して決勝への切符を掴み取った。

 決勝でも21歳以下の起用レギュレーションはあるため、早川はプロ契約1年目で大きなチャンスを掴んだ。決勝進出について「自分としてもタイトルを取りたい。それはチーム全員、ファン・サポーターの皆さんもそうだと思う。優勝のために自分の力を出せたら」と話す。

 ニューヒーロー賞の有力候補にも挙がるが、「余裕があったら意識していたと思うけど、それよりも今はチームのためにという感じだし、ギリギリだったので意識はしてなかったですね」と微笑んだ。

 浦和の下部組織から育った17歳はチームを決勝に導くという仕事は果たした。国立競技場での決勝戦では、2016年以来3回目の優勝に導くべく奮闘する姿が期待される。

(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)



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