南野拓実は「殺し屋の本能に欠ける」 カナダ戦不発…「もう一度チャンスは与えられるべきか」と英記者が問題提起【コラム】
三笘や堂安、鎌田、久保が出場していないなかでカナダに4-1で快勝「自信は増す一方」
日本代表は、10月13日に新潟のデンカビッグスワンスタジアムでカナダ代表と対戦し、4-1で快勝した。かつてアジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ(W杯)を7大会連続で現地取材中の英国人記者マイケル・チャーチ氏は、勝利の中で結果を残せなかった南野拓実に言及している。
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またしても4得点を決めての勝利。森保監督がスタメンを大幅に変更しても、結果は同じだった。
日本代表は4試合連続で4得点を挙げ、直近5試合の得点は「22」にも及ぶ。数年前までは得点力不足が叫ばれていたチームにとっては信じられないような数字だ。
チームからは自信がにじみ出ている。日本代表はたとえ最強の先発メンバーを選べない時、あるいは森保監督にその気がない時でも、その自信は増す一方だ。
カナダ戦は体調不良で活動辞退の三笘薫、今回は招集が見送られた堂安律と鎌田大地のほか、久保建英、守田英正、板倉滉、伊藤洋輝といった選手がベンチスタートだったなかで快勝した。右サイドバックのポジションを掴んだと思われる23歳の菅原由勢も出場していなかった。
試合序盤のカナダはまるでヘッドライトに照らされたヘラジカのようだった。日本のオフ・ザ・ボールでのプレッシャーとポゼッション時の巧みな動きが、時差ボケに苦しむカナダの選手たちを影に追いやった。
ペナルティーエリア内でボールをクリアしきれず、開始わずか2分で田中碧に先制点を決められたマウロ・ビエロ監督率いるチームはそこからなんとか足場を固めたが、それも一時的なものに過ぎなかった。
大迫敬介のPKセーブは極めて重要なものだっただろう。アルフォンソ・デイビスを倒してPKを献上したミスの償いとして、ジョナサン・デービッドのキックを足で防いだ。
このビッグセーブはようやく勢いに乗ってきたカナダを意気消沈させるものだった。さらにデイビスのオウンゴールは、中盤の争いで蹂躙されていたカナダ代表の沈んだ気持ちに追い打ちをかけた。
適任者不在の左SBは中山がタイムリーな復帰
日本のシャープさが勝利の鍵だった。遠藤航がいつものように盾となり、それよりも前にいた前線5人は自由に振る舞い、カナダを翻弄した。彼らは自分たちのタスクを冷静に遂行した。
中盤の働きが相手のミスを誘い、日本はそこでアドバンテージを握った。最も多くの喝采を浴びるのは2ゴールの田中碧だろうが、そのほかでは中村敬斗と浅野拓磨も称賛に値する。
次(10月17日)のチュニジア戦も森保監督は大幅なメンバー変更を行うはずだ。日本がカナダを圧倒していたころ、チュニジアはソウルで韓国代表に0-4で敗れている。この試合よりもさらに大きな勝利が待っているかもしれない。
しかし、結果よりも重要なのは、ワールドカップ(W杯)アジア2次予選とアジアカップが目前に迫っているなかで、森保監督がこの試合から何を学んだのかということだろう。
中山雄太は彼の不在の間に適任者が現れなかった左サイドバックに戻ってきた。彼のパフォーマンスが十分でなかったとしても、タイムリーな復帰だと言えるだろう。町田浩樹は板倉滉の代役が十分に務まることを証明した。
毎熊晟矢は菅原由勢からポジションを奪う可能性を示すことはほとんどできなかった。南野拓実はボールポゼッションの場面ではきちんとしたプレーができているが、得点チャンスの場面でキラー・インスティンクト(殺し屋の本能)に欠けるという以前からある特徴をまだ抱えていた。
このようなワンサイドゲームは南野にとって輝きを取り戻し、再浮上するチャンスだったはずだが、期待には応えられなかった。チュニジア戦でもう一度チャンスは与えられるのだろうか。
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マイケル・チャーチ
アジアサッカーを幅広くカバーし、25年以上ジャーナリストとして活動する英国人ジャーナリスト。アジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ6大会連続で取材。日本代表や日本サッカー界の動向も長年追っている。現在はコラムニストとしても執筆。