南野は「絶対必要ではない」 森保ジャパンでの“現在地”を日本代表OBが指摘「彼のチームではない」【見解】
【専門家の目|栗原勇蔵】第2次政権の森保ジャパンは「南野のチームではない」
森保一監督率いる日本代表は、10月13日に行われた国際親善試合でカナダ代表に4-1で快勝した。MF三笘薫(ブライトン)が不在、MF久保建英(レアル・ソシエダ)も出番がなかったなかでゴールラッシュを見せたが、トップ下で先発出場したMF南野拓実(ASモナコ)について、元日本代表DF栗原勇蔵氏は「ピッチ上に絶対必要かと言われれば、そうは言えない」と見解を述べている。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)
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日本は三笘が体調不良で招集を辞退し、久保もベンチスタートのまま出番は訪れなかったなか、開始2分に右サイドから崩し、こぼれ球に反応したMF田中碧(デュッセルドルフ)のミドルシュートが決まり幸先良く先制した。
その後、GK大迫敬介(サンフレッチェ広島)が相手を倒してPKを献上するも自らPKをストップ。前半39分にはFW浅野拓磨(ボーフム)にボールを渡し、中央へのパスに南野は追い付かなかったものの相手のミスを誘ってオウンゴール。さらに前半42分、浅野がドリブル突破からペナルティーエリア内で中村にラストパスを出すと、冷静に中村が蹴り込み3-0とリードを広げた。
日本の勢いは衰えず、後半4分にも田中が右足ボレーで蹴り込んでこの日2点目。終盤に1点を返されたものの、4-1と勝利を収めた。
昨年のカタール・ワールドカップ(W杯)以来の代表復帰となった南野は、トップ下で先発出場して後半38分までプレー。立ち上がりにスルーパスに抜け出してクロスを上げるなど、存在感を示す場面もあったが、目に見えた結果は残せなかった。
日本代表OBの栗原氏は、「南野がチームに与えている影響力は、中にいる人にしか分からないものがある」と前置きしたうえで、10か月ぶりの日本代表戦に臨んだ南野に関して見解を述べている。
「南野本人が一番ゴールが欲しかったと思います。強引にシュートを打ったり、結果を求めていた。でも、ピッチ上で絶対に必要かと言われれば、レベルが上がった今の日本にとってはそうは言えない。南野もアピールをしないと生き残っていけない。それくらい全体的なレベル上がっているという証拠。リーグ戦での活躍はもちろんみんな分かってるけど、クラブと代表での戦い方とか存在感はまるで別物。どれだけクラブで良くても代表では使えなかったり、その逆もある。そう考えるとやっぱり結果で示していかないといけない。3年前、4年前は南野のチームと感じるところはあったけど、今は南野のチームではないので」
結果を残してアピールできるか
現在の日本代表には、久保や今回は招集が見送られたMF鎌田大地(ラツィオ)らがいる。南野は今回代表復帰を果たしたとはいえ、その立場は決して安泰ではない。
「クラブで活躍して再びチャンスをもらえたなかで、勝負の世界なので、目に見えた結果を残さないと周囲に示しがつかない。南野は格下相手には爆発してもおかしくない感じがするけど、一方で格上相手に何かできるかというところでは、今のところそういう雰囲気を正直感じない。ここ一番の勝負強さがあるのか、そこは結果次第。なんだかんだなんか点を取る選手はやっぱり置いておきたいし、今、南野か久保かどちらか選びなさいと言われたら、8割9割の人は久保を選ぶと思います。力はあるのは間違いないけど、南野を絶対に選ばないといけない理由はない」
2018年以降の森保監督体制下で、FW大迫勇也(ヴィッセル神戸)とともに、最多ゴール数(17点)を記録している南野の巻き返しに期待したいところだ。
栗原勇蔵
くりはら・ゆうぞう/1983年生まれ、神奈川県出身。横浜F・マリノスの下部組織で育ち、2002年にトップ昇格。元日本代表DF松田直樹、同DF中澤佑二の下でセンターバックとしての能力を磨くと、プロ5年目の06年から出場機会を増やし最終ラインに欠かせない選手へと成長した。日本代表としても活躍し、20試合3得点を記録。横浜FM一筋で18シーズンを過ごし、19年限りで現役を引退した。現在は横浜FMの「クラブシップ・キャプテン」として活動している。