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ザックが母国イタリアサッカー界に警鐘 「凋落の理由は明白に思える」
勝利至上主義からの解放
アルベルト・ザッケローニ前日本代表監督は、凋落(ちょうらく)著しいイタリアサッカー界に警鐘を鳴らした。イタリア地元紙「ガゼッタ・デロ・スポルト」が報じている。
ACミラン、ユベントスなど名門の指揮官をかつて歴任した61歳のザッケローニ氏は、イタリアサッカー界の抱える問題をこう語った。
「凋落の理由は明白に思える。以前のような資金力がないのに、同じアプローチ、手法を取っている。偉大なファミリーがかつてはカルチョの世界に投資してきた。アニエッリ(ユベントス)、ベルルスコーニ(ミラン)、モラッティ(元インテル)、センシ(元ローマ)、タンツィ(元パルマ)という名前はもうない。アメリカ人のような起業家が彼らのビジネスモデルを導入した。それとは対照的に、アラブの投資家はすでに独自のビジネスモデルを確立している」
以前は一族経営や、クラブとカルチョに情熱を注ぐパトロンのポケットマネーで欧州の頂点に君臨してきた。だが、そのパトロンの経済状況も悪化。それによってクラブ、リーグ、イタリアサッカー界全体が競争力を失ってしまった。
収益構造以外にも、イタリアの若年層からの勝利至上主義がタレント育成を阻んでいるとザックは見ている。
「もっとも優れたユースを指導する監督も勝つことしか考えていない。タレント育成に重要な基礎的な部分の指導がないがしろにされている。セリエAでもセリエBでも守備の仕方も攻撃の仕方も理解していない選手が徐々に増えている。だが、ほとんどの選手は監督の選んだフォーメションにおける役割だけは理解している」
結果をひたすら追求するイタリアサッカーは下部組織から変わらない。ピッチ上で相手の長所を消すことにこだわる戦術性が若手育成のガンとなっているのだという。
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