町田MF松井蓮之、J1昇格&J2優勝へ譲れぬ思い 「僕の加入から風向きが変わったと思ってもらいたい」【インタビュー】
10月8日の甲府戦はJ1昇格、J2昇格に向けた重要な一戦
J2リーグで首位に立つFC町田ゼルビアは、10月8日に行われる第38節で6位ヴァンフォーレ甲府と対戦する。勝ち点差は15と大きく開いているが、現在の甲府はリーグ戦で5試合負けなし(2勝3分)であり、さらに天皇杯優勝チームとして出場しているAFCチャンピオンズリーグ(ACL)では、J2クラブ史上初となる勝利をタイの名門ブリーラム・ユナイテッドから挙げている。そして何より、今季の第11節の直接対決では町田も0-1と完封負けを喫しているのだ。
【PR】ABEMA de DAZNで欧州サッカー生中継!伊東・鎌田ら注目の日本人選手所属クラブの試合を一部無料生中継!
クラブ史上初のJ1昇格、さらにJ2優勝を目指す町田にとって、2位のジュビロ磐田や3位の清水エスパルスとの勝ち点が詰まってきているなかで迎えるこの甲府戦は、自分たちの力が問われる関門となる。
シーズン序盤から快調に首位を走っていた町田だが、ここに来てその勢いに陰りが見える。第31節清水エスパルス戦に2-3で敗れてから第37節いわきFC戦までの7試合の結果は2勝2分3敗と負け越している。それまでの30試合では4敗しか喫していなかったことが、余計に失速を感じさせる。
今季途中にJ1川崎フロンターレから町田に加入したMF松井蓮之は、「周りからは『足踏みしている』と思われているかもしれませんが、まだ首位にいますし、1試合少ないこともあるので、チームは全くネガティブになっていません。むしろ、あと何試合になるかはほかのチームの結果次第ですが、数試合勝てば昇格が決まるとみんな思っているので、一試合一試合を大切に戦っています。残り6試合をチーム全体で戦っていこうという話は、週明けにチーム全員でしています。今の町田は1試合1試合勝てば優勝できる状況なので、周りのチームを気にせずに自分たちがやるだけだという気持ちです」と、チームが前向きな状況を維持していると語った。
足踏み状態になった大きな要因が、清水戦で負傷したエースのブラジル人FWエリキの戦線離脱だ。ここまでリーグ2位の18得点を挙げていたエリキが不在になり、第33節サスパクサツ群馬戦(0-0)、第34節栃木SC戦(0-1)、第35節藤枝MYFC戦(0-0)と3試合ノーゴールという時期もあった。
「エリキは攻撃的な選手で、1人でボールを持っていけますし、個で相手を剥がすこともできます。前線での守備の強度も高いので、1人でショートカウンターを完結できる力もあったので、そういったところがあると得点はもっと取れると思います」と、松井はブラジル人ストライカーが抜けた影響を素直に認めた。
それでも、「エリキがいないことを、どうこう言っても仕方がないですし、いる選手で戦っていくことはチーム全体として共通認識を持っています。エリキがいないからこそできる攻撃もあると思うので、チームみんなで話し合いながら試合に臨んでいます」と、チームとして、エースの穴を埋める考えを示した。
こだわるリーグタイトルへの思い
エリキ不在ですでに6試合を戦っているが、練習からも新たな攻撃の構築、向上に取り組んでいる。
「エリキがいる時は、エリキに任せっきりではないですが、サポートが少なくなっていたと思います。それが今は1人で打開というよりは、ボールを奪ってから人数をかけたショートカウンターでゴール前で触るという形を練習中からはトライしています。そういった成果が長崎戦でも出たので、チーム全体がショートカウンターは自信を持って試合に臨んでいます。『エリキがいないから点を取れない』と言われるのは、僕も悔しいですし、チーム全体も悔しいので、次の試合で得点を取って勝ちたいと思います」
松井自身は町田に加入する前だったが、今節で対戦する甲府、そして次節の対戦相手であるブラウブリッツ秋田には、今シーズン最初の対戦で敗戦を喫している。
「僕は1回目の対戦時はいませんでしたが、『甲府は選手全員が上手いし、しっかり戦ってくる』とみんなも言っています。前節いわきFCに負けましたが、今シーズン連敗をしていないのは町田の強みだと思うので、甲府に勝って優勝への第一歩にしたいと思います。同じ相手に2度負けるチームは、絶対に優勝できないとみんな感じていると思うので、モチベーションも今まで以上に高いですし、勝たないといけない試合だと思っています」
松井自身もリーグ優勝への思いは強い。
「リーグ戦に優勝することは、個人としても、チームとしてもステップアップできるところだと思います。2位でも昇格はできますが、J2優勝というタイトルを獲りたいですし、僕が加入してから風向きが変わったとか、チームが良くなったと思ってもらいたいので、僕だけで何かができるわけではないですが、残り6試合、少しでもチームに貢献して、みんなで優勝を味わいたいです」
残り6試合のどこかで、町田のJ1昇格が決まる瞬間、優勝が決まる瞬間が訪れる可能性がある。松井をはじめ町田の選手たちは、1人でも多くのファン・サポーターとともに、その瞬間を迎えられることを願っている。
「FC町田ゼルビアは今、首位にいますし、試合を見に来ていただければ、絶対に楽しい試合になると思います。サポーターやファンの方々の声援は、とても毎試合力になっていますし、選手たちも『ファン・サポーターと優勝を分かち合いたい』と言い合っています。ぜひスタジアムで僕たちを応援してください。そして、一緒に試合に勝ち、J1昇格とJ2優勝を味わいましょう!」
[プロフィール]
松井蓮之(まつい・れんじ)/2000年2月27日生まれ、福島県出身。矢板中央高―法政大―川崎―町田。J1通算0試合・0得点、J2通算17試合・1得点。持ち前の対人の強さ、持久力で勝負するミッドフィールダー。今年5月に育成型期限付き移籍で町田の一員となり、9月23日のJ2第36節長崎戦で待望のJリーグ初ゴールを挙げた。
(河合 拓 / Taku Kawai)