AFC報告案件と指摘 北朝鮮、アジア大会日本戦での蛮行を英記者が一刀両断「罰を受けて然るべき」【コラム】

U-22日本代表は北朝鮮代表に2‐1で勝利【写真:Getty Images】
U-22日本代表は北朝鮮代表に2‐1で勝利【写真:Getty Images】

アジア大会を現地取材するマイケル・チャーチ記者が見解

 U-22サッカー日本代表は10月1日、アジア競技大会の準々決勝で北朝鮮代表に2-1で勝利した。対戦した北朝鮮の選手がヒートアップするシーンやラフプレーも見られて波紋を呼んだが、ワールドカップ(W杯)を7大会連続取材し、今大会も現地に足を運んでいる英国人記者のマイケル・チャーチ氏は、「何かしらの罰を受けて然るべきだ」と見解を述べている。

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 北朝鮮代表のような問題に対し、我々は何をすべきなのだろう。孤立した国のサッカーチームは4年以上も外の世界との関わりを拒否していたあとで表舞台に再び姿を見せたが、自分たちの殻に閉じこもっていた彼らが残した印象はポジティブなものではなかった。

 アジア競技大会の準々決勝で日本に敗れたシン・ヨンナム監督率いる北朝鮮の振る舞いは、規律が欠如していただけなく、一切のリスペクトが感じられなかった。何かしらの罰を受けて然るべきだろう。

 90分間を通じて、必要以上のチャレンジがいくつも見られた。技術的な不足を補うため、彼らはまるで暴漢のような戦い方で日本の選手たちを屈服させようとしていた。

 それが失敗に終わったということは大岩剛監督率いる日本の才能とメンタリティーを物語っていたということだろう。日本は相手の挑発的な戦いに冷静なアプローチで対応し、2-1で勝利。香港代表との準決勝へ駒を進めた。

 北朝鮮の悪質なファウルよりも心配だったのは、選手以外の人間への攻撃性だ。

 例えば、北朝鮮は後半27分過ぎのプレーが止まっているタイミングで、DFキム・ユソンが日本の治療スタッフから給水ボトルを奪い、拳を振り上げて威嚇する素振りを見せた。ウズベキスタン人のルスタム・ルトフリン主審はイエローカードを提示したが、それでは不十分で一発レッドでもおかしくなかった。

 ルトフリン主審は試合終了のホイッスルの直後、敬意を欠いた暴力的な脅威を自ら受けることになる。

 北朝鮮のDFチャン・ククチョル、DFキム・ギョンソク、FWキム・ポムヒョク、キム・ユソンらはMF西川潤が倒されて得たPKへの判定に不満を持ち、主審に詰め寄った。

 ルトフリン主審はこの攻撃的な選手たちから逃れ、フィールドから安全に離れるために警備員の助けを受けなければならなかった。このことは北朝鮮の選手たちが試合の規則や審判団をいかに軽視していたかが分かる出来事だった。

北朝鮮の人々が今回の出来事をきちんと問題視するかどうか

 間違いなくこのような事件の数々は試合後の報告書に記載され、マッチコミッショナー、そして最終的にはアジアサッカー連盟(AFC)へと報告されるだろう。

 スポーツ競技の基本は、審判団が暴力的な脅威や脅迫の恐れを感じることなく試合に影響を与える決定を下せることだ。北朝鮮の選手たちには長期の出場停止処分が下されるのが適切なはずだ。

 問題は、こうしたことを北朝鮮の人々が気にかけるかどうかだ。彼らは他者の考えを聞き入れないことがあまりに多い。なんらかの制裁が下れば、彼らは再び自分たちの要塞の地へと戻り、当分の間戻ってこない可能性がある。

 北朝鮮代表のA代表チームはワールドカップ(W杯)予選に復帰し、再び日本と対戦するが、大きな難問はなんらかの処分が下されたことを侮辱されたと考えた場合、再び連絡が断ち切られてしまう可能性があるということだ。

 しかし、北朝鮮の選手たちが今回のような不快な振る舞いをし、アジアサッカーの評判を落とすつもりならば、正しい礼儀作法を学ぶまでは競技の場から遠ざかるべきだろう。

(マイケル・チャーチ/Michael Church)



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マイケル・チャーチ

アジアサッカーを幅広くカバーし、25年以上ジャーナリストとして活動する英国人ジャーナリスト。アジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ6大会連続で取材。日本代表や日本サッカー界の動向も長年追っている。現在はコラムニストとしても執筆。

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