「心臓に穴が空いた」小柳ルミ子が回想する“最愛”メッシのバルサ退団 PSGでは「楽しんでいなかった」【インタビュー】

メッシの熱狂的ファンの小柳ルミ子【写真:徳原隆元】
メッシの熱狂的ファンの小柳ルミ子【写真:徳原隆元】

メッシとバルサの別れに「しばらく泣き続けていました」

 アルゼンチン代表FWリオネル・メッシ(インテル・マイアミ)を誰よりも愛している日本人は誰か。そう尋ねられれば、多くの方々が「小柳ルミ子」の名前を挙げるのではないだろうか。そんな自他ともに認める“日本一のメッシファン”の彼女にとって、最もつらい瞬間だったのが、メッシのFCバルセロナ退団だ。2021年当時について、「心臓に穴が空いたような苦しさでした」と振り返っている。(取材・文=城福達也/全4回の4回目)

 小柳ルミ子は福岡県出身ということもあり、Jリーグではアビスパ福岡を応援し、日本代表にももちろんのこと熱い思いを抱いているが、何よりメッシに対する愛が強いのは誰しもが知るところだろう。公式X(旧ツイッター)のプロフィール欄にも「メッシ命」と記載しており、2004年にメッシがスペイン1部バルセロナでデビューを飾ったその瞬間から19年間にわたって熱狂的に応援し続けている。

 世界最高の選手に贈られるバロンドールを7回も受賞し、17歳からプロとしてピッチに立った小柄なレフティーは、歴代最高のフットボーラーにまで登り詰めた。その過程を見守ってきた小柳ルミ子にとって、2021年のバルセロナ退団は、あまりにもつらい出来事となった。当時について尋ねると、それまでの笑顔が一転して曇り、「本当にね……」と5秒間の沈黙を経て言葉を絞り出した。

「あの記者会見もライブで見ていたのですが、あんなに泣きじゃくるメッシは初めてだったので……私も心臓に穴が空いたような苦しさでした。バカンスを(ルイス・)スアレスと一緒に楽しんでいる動画なども見ていたので、チームに戻ってきて新しい契約を結んでくれると思っていたら、まさかあんなことになるなんて……。バルセロナに骨を埋めると信じて疑わなかったので。しばらく泣き続けていました」

 その後、フランス1部パリ・サンジェルマン(PSG)に移籍したメッシは、新天地でもその実力を遺憾無く発揮し、在籍2年間で3つのタイトルを獲得した。しかしバルセロナで見せていたような活気は、どこか影を潜めているように映った。

「楽しんでいなかったですよね。バルセロナで見せていたような覇気はなかった。人間性はいいので、(キリアン・)ムバッペやネイマールが得点を決めれば笑顔で祝福していましたが、ふとした瞬間に寂しそうな、虚しそうな表情を浮かべていた。楽しくないんだろうなと、メッシをずっと見てきた人間であれば誰もが感じ取っていたはず」

MLSでプレーするリオネル・メッシ【写真:ロイター】
MLSでプレーするリオネル・メッシ【写真:ロイター】

MLSインテル・マイアミ移籍で「純粋にサッカーを楽しめている」

 メッシは今夏の移籍市場で、米MLS(メジャーリーグサッカー)のインテル・マイアミへ移籍。依然として世界最高峰の実力を備えながらも、欧州サッカーの第一線から離れる決断を下した。しかし、アメリカのピッチでは、まるで何かから解き放たれたように、リラックスしてサッカーを楽しんでいるメッシの姿が見て取れた。

「MLSに移籍してからは、少し楽しそうなメッシが戻ってきましたよね。(セルヒオ・)ブスケッツやジョルディ・アルバの存在はやはり大きいでしょうが、何より今の環境は純粋にサッカーを楽しめるのだと思います。PSGの時のようなお金のしがらみもないし、商業面のしがらみによる居心地の悪さからは解放された爽快感はあるでしょうね。あとは、下位争いをしているチームに移籍したというのも、彼の中で刺激になっているんじゃないでしょうか」

 インテル・マイアミ加入当時、チームは最下位に沈んでいた。プロデビューを果たしたバルセロナは当時から世界最高クラス。移籍したPSGも、すでにタレント揃いのメガクラブとなっていた。これまでのキャリアで優勝争いしか経験してこなかったメッシにとって、底辺から這い上がる挑戦は初めてだった。そういった新鮮な環境も、メッシの冒険心をくすぐっているのかもしれない。それでも今年で36歳となり、いよいよメッシの現役生活も晩年に突入しているが、小柳ルミ子は「最後は、バルセロナで引退してほしいですけどね」と本音も覗かせていた。

 史上最高の選手がサッカー人生をどのように締めくくるのか、世界中のサッカーファンから注目を集めることになるだろうが、どのようなエンディングを迎えるにせよ、小柳ルミ子が最大限の敬意と愛情を示すことだけは間違いないだろう。

(文中敬称略)

[プロフィール]
小柳ルミ子(こやなぎ・るみこ)/1952年生まれ、福岡県出身。15歳で宝塚音楽学校に入学。首席で卒業後、芸能界入り。テレビや配信を中心に、1日に5試合、仕事がない日は10試合、年間で約2000試合を観戦。Jリーグや高校サッカーなどの国内サッカーをはじめ、海外サッカーもサッカーノートをつけながらチェックしており、“日本で一番サッカーを見てる芸能人”とも言われる。好きなサッカー選手はアルゼンチン代表FWリオネル・メッシ(インテル・マイアミ)。

(城福達也 / Tatsuya Jofuku)

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