横浜FMはなぜ黒星を喫してしまったのか?「キー坊が不在だったので…」 勝敗を分けた“前半”
首位・神戸との天王山は0-2の完敗
勝てば首位に立てる。そんな一戦だったからこそ、横浜F・マリノスの守護神であるGK一森純の言葉は厳しくなった。「前半がすべてだったなというふうに思っています。不運な形でPKを取られて、まだ1点差で前半なのに全員が下を向いてしまい、すごくもったいない時間を過ごしたと思っています。どれだけこの試合で勝ちたいかというメンタリティーが、相手の方が上回っていたというのが正直な感想です」と、切り出した。
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ホームの日産スタジアムに首位のヴィッセル神戸を迎えた9月29日のJ1リーグ第29節(0-2)。試合前、神戸との勝ち点差は1という状況だったが、前半23分にFW武藤嘉紀のシュートをブロックしに行ったDFエドゥアルドの足が武藤の足に当たり、VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)の結果、PKとなる。このPKをFW大迫勇也に決められると、それまで決して悪くなかった横浜FMの勢いは一気にそがれてしまった。そして前半43分には武藤にCKの流れからヘディングを決められてしまった。
「あの失点は、『だから何?』という感じの失点だったと思うんです。それが、すごく重くのしかかっている雰囲気だったので。今日は特にキー坊(喜田拓也)が不在だったので、GKとしてそこは落ち着かせたり、発破をかけたりしたかったのですが、そこがもったいなかったかなと思います」と、キャプテンの喜田が不在の一戦で、自分から流れを変えられなかったことを悔やんだ。
2位にいる横浜FMだが、失点をせずに90分を終えた試合は第22節の浦和戦(0-0)が最後となっており、直近のリーグ戦7試合続けて失点を喫している。「寄せも甘いし、やらせないっていう気持ちも、もっと出していいのかなと思います。攻撃の距離感が悪くて、結果的に守備の距離感が悪くなって後手を踏むことも結構ある。うちとしては、距離感というのはすごく大事になってくる。結果的に攻守両面でうまくいかない印象です」と、問題を指摘した。
攻撃面について、さらに具体的に言及している。
「前半、DFラインで時間があったのですが、あえて相手をおびき出して、こっちがテンポアップして相手を走らせる。こっち側から相手のスイッチを入れる局面をもっと作って、相手に的を絞らせない。相手の手の中で転がされないような攻撃をもっとやっていけたらと思っています。そこに行きつくまで、いつも30分くらいかかるので、もっと早く自分たちから仕掛けて、流れの悪い時間を極力短くする。先制点を取られてからとか、長い時間が経ってから修正することが大事かなと思います」
逆転優勝は神戸の結果次第になってしまった横浜FMだが、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)やルヴァンカップの戦いもあり、リーグ戦が中断するなかでも公式戦が続く。
「次の試合からではなく、今から変わらないといけない。次の試合からでいいとか、そういう気持ちだと間に合わない。ACLとか挟みますが、試合ができるのは絶好の機会。リーグも、ACLも、ルヴァン杯も、どれも大事な試合なので、チームが変われるチャンスだと捉えて、しっかりやっていきたいと思います」
Jリーグ連覇を目指す横浜FMは、ホームでの大一番で喫した手痛い一敗を、上昇のきっかけにできるだろうか。
(河合 拓 / Taku Kawai)