遠藤航で穴埋めも…クロップの“放棄する決断”に現地注目「解決策をエンドウに見出すのではなく…」

リバプールの遠藤航【写真:Getty Images】
リバプールの遠藤航【写真:Getty Images】

遠藤を確保も「ピークのファビーニョを求めるのは難しい」

 日本代表MF遠藤航は今夏の移籍市場でイングランド1部リバプールに移籍した。チームに不足している守備的MFとしてユルゲン・クロップ監督からの期待も大きいが、現地メディアは「6番のターゲットを逃したことは、リバプールの中盤の交代にどのような影響を及ぼしたのか?」と見出しを打ち、クロップ監督の大胆な方針転換に注目している。

 今夏の移籍市場では主力だったMFジョーダン・ヘンダーソンやMFファビーニョらを筆頭に、計5人の中盤選手が退団。一方、MFアレクシス・マック・アリスターやMFドミニク・ソボスライ、MFライアン・フラーフェンベルフ、そして遠藤を獲得し、大刷新が施された。開幕から6試合を消化し、5勝1分でリーグ2位に付けており、現時点では世代交代に成功と評価しても良い成績を残している。

 開幕前にはMFモイセス・カイセドにプレミアリーグ歴代最高額の1億1000万ポンド(約202億円)を提示しクラブ間合意に達するも、カイセド本人がチェルシー移籍を熱望したことで破談に終わり、同時期に交渉を続けていたMFロメオ・ラヴィアもチェルシーに競り負ける格好となり、守備的MFが不在のままシーズンを迎えることになったが、急転直下で遠藤に白羽の矢が立ち、打診からわずか2日間で正式加入がまとまっていた。

 そんななか、現地メディア「This is Anfield」は「6番のターゲットを逃したことは、リバプールの中盤の交代にどのような影響を及ぼしたのか?」と見出しを打ち、「カイセドの移籍拒否を受けた直後の、ワタル・エンドウとの契約のスピードがすべてを物語っている。そのあとの動きが鈍化したことも同様だ。これは、リバプールのスカウト陣が守備的MFの人材に対して、暗い見解を抱いていることを示唆している」と取り上げている。

 アンカーというポジションについて「リバプールは5年間、そのポジションで最高峰の選手を擁していたが、ピークのファビーニョを求めるのは難しい」と、ファビーニョの後釜を発掘するのは不可能と判断したとし、「比較的安価なエンドウを獲得し、ある種のスペシャリストをドラフトで指名した。必要な状況に応じて、純粋な守備的MFを確保した」と前置きしつつ、ワールドクラスのアンカーが不在となったことでクロップ監督は抜本的な変革に舵を切ったと説明している。

あえて守備的MFを起用しないクロップ監督の試み

「リバプールの中盤における典型的な背番号6番はエンドウ以外では考えられない。多少経験したことのある選手はいるが、全員がより前方でプレーするのが特長だ。リバプールが今季をどう戦うつもりなのかを示しているのが、マック・アリスターの起用法だ。高い位置に配置されると予想されていたなか、中盤の底に落ち着いている。重要だったのは、ウルブス戦で状況が難しくなり、中盤のテコ入れが必要な際に、解決策をエンドウに見出すのではなく、(ダブルボランチにする)戦術的な変更だった」

 クロップ監督が守備的アンカーをあえて起用しないスタイルにトライしているとし、「リバプールが6番を放棄する決断が成果を上げれば、クロップは惜しみない称賛を受けることになるだろう。2000年代初頭から中頃にかけて、マケレレの存在が6番タイプを流行させ、その役割を普及させた。クロップとリバプールは、意図したというより偶然だが、ワールドクラスという点において、いまや絶滅危惧種であることに気がついたのかもしれない」と、現在のサッカー界が“守備的アンカー不足”に陥っていることを指摘している。

 記事では、「そのため、ハイテクなエンジンを搭載した万能なMFにスポットライトを当てる必要を見出し、フラーフェンベルフがその実例に該当する」と、攻守に走るボックス・トゥ・ボックス型のフラーフェンベルフの獲得が、リバプールの方針転換の根拠であると綴っていた。現在は、クロップのチャレンジは功を奏しているが、マンチェスター・シティやアーセナルといった優勝候補と対戦する場合、また状況は変わってくる可能性は大いにある。その際、遠藤に対しどのような働きかけを示すのか注目だ。

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