“肘”によるファウルの違いは? 識者がJ1名古屋×札幌の2事象を比較「反則の質が違う」
札幌MF小林のファウルシーンに注目
スポーツチャンネル「DAZN」の判定検証番組「Jリーグジャッジリプレイ」で、9月23日のJ1リーグ第28節、名古屋グランパスと北海道コンサドーレ札幌の試合が取り上げられた。ここでは、札幌のMF小林祐希と名古屋のMF森島司による接触が議論された。
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後半25分、右サイドでボールを受けた小林がボールをキープするために背中を向けたところに森島が寄せ、小林の右上腕から肘の辺りが森島に接触。小屋幸栄レフェリーは小林のファウルとしてイエローカードも提示したが、小林は不満そうなリアクションだった。ただし、この試合では前半30分に名古屋のMF稲垣祥が小林からボールを奪った際に、稲垣の左上腕から肘のあたりが小林のあごのあたりに当たっていたが、小屋レフェリーはノーファウルとしていた。
ゲスト出演した槙野智章氏は、「選手は自分の肌感覚で、今日のレフェリーの基準を感じながらプレーしている。小林選手は前半にあった自分のシーンで、これはファウルを取られないんだという認識で起きたので、『これは取るの?』という選手からすると印象になる。それに対する異議のカードだと思うけれども、選手はレフェリーと過ぎ合わせながらプレーするので、その印象のなかでやったと思う」と話した。
同じくゲスト出演した安田理大氏は「2回目のイエローをもらったシーンで言うと、相手が来るのを分かってちょっとわざと腕を上げているかなと思う。ちょっと印象が悪く見える。さっきのシーンでは、稲垣選手は完全にボールを奪うために先に身体が入っている。こっち(2回目)の方が印象が悪いというのはある」と話し、稲垣のプレーについてはファウルを取る必要はないという見解も示した。
元国際審判員・プロフェッショナルレフェリーの家本政明氏は「安田さんが良いポイントを言ったと思っていて、反則の質が違うと思う。稲垣選手の方は、身体を入れて最後のところで結果的に肘が当たってしまった。フリーキック(ファウル)の方が良かったかなと思う。レフェリーは目の前で見ていた。なぜ取らなかったかと言えば、ボールのコンタクトなので足の方にフォーカスして、上のコンタクトが(意識から)消えている可能性が高い。不満を持つのは十分に分かる」と話す。
一方で「これが前半30分で、ハーフタイムも挟む。直後なら分かるけど、だいぶ時間が経っている。安田さんがおっしゃったみたいに、意図を持って相手の方向に肘を向けている。僕はこれでイエローカードと思った。(公式記録の)理由を見ると異議となっているので違和感と言うか、異議で(カード)出さなくていいのではないかと。不満も分かるけど、ちょっと受けて冷静になってもらう。それでも良かったのではないか」とも話した。
安田氏は小林について「こいつ、相当に口悪いので無茶苦茶言っていると思いますよ」と笑わせた。家本氏は稲垣のプレーをファウルでノーカードが良かったと結論付け、2つ目のプレーについて「ファウルとして、その後の異議をレフェリーがどうマネジメントするか。その域を小林選手が越えるならその場で、ということもある」と話した。
槙野氏は小林がクレームをつけた際の小屋レフェリーによるリアクションについて「カードを出しながら、どこかに行く。これ、何とかなんないですかね。ちゃんと向き合わないと。コミュニケーションを取ろう、ゲームをしっかり作ろうねとなっても、こんな形でカードを出されたら選手も怒る。ファウルや異議は良くないかもしれないけど、このカードの出し方で、この後に上手くゲームを作るためには上手く持っていかないと」と、選手経験者として苦言を呈していた。