浦和FWの“頭突き→一発退場” 荒れた展開の判定に元代表戦士ら見解「宇佐美の誘いに乗ってしまった」
浦和FWホセ・カンテの退場までの流れを考察
スポーツチャンネル「DAZN」の判定検証番組「Jリーグジャッジリプレイ」で、9月24日のJ1リーグ第28節、ガンバ大阪と浦和レッズの試合が取り上げられた。ここでは後半の立ち上がりに起きた両チームの対立で、浦和FWホセ・カンテが退場処分になった場面が取り上げられた。
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後半4分、浦和がGK西川周作のロングキックを入れた場面でカンテがG大阪のDF福岡将太に引き倒されたようにも見え、その流れたボールを浦和MF安居海渡とG大阪のDF黒川圭介の競り合い。そのこぼれ球を黒川と浦和MF小泉佳穂が競ったところでは小泉が弾かれて転倒した。ここで判定に不満を持っていたカンテがドリブルする黒川を明らかにうしろから引っ張り、ファウルの笛でプレーが止まった。そこにG大阪のFW宇佐美貴史が駆け寄ってカンテに何か強く話しかけ、カンテが頭突きのような形で宇佐美に接触して宇佐美が倒れ込んだ。
荒木友輔レフェリーはアシスタントレフェリーとも確認し、さらに松尾一VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)とも交信してオンフィールドレビューを実施。最終的にカンテにレッドカードが提示され、宇佐美にイエローカード。また、この対立の中で小泉を突き飛ばすような行為があった黒川にもイエローカードが提示された。公式記録では、カンテが乱暴な行為、宇佐美と黒川はいずれも反スポーツ的行為によるカードとされている。
ゲスト出演した槙野智章氏は、カンテが退場になった場面について「宇佐美貴史の誘いに乗ってしまったのが見て取れる。僕も(判定は)そうだろうなと思う」とコメント。同じくゲスト出演した安田理大氏は「こういうところ(プレー部分)はレフェリーによっては流して選手に強く戦ってほしい気持ちは分かる。そこはいいけど、ここで倒れないのにあんなちょっとの小競り合いで倒れるのかと。(宇佐美は)誘いに行って、なんかセコイというか。倒れたもの勝ち」と、宇佐美の行動には批判的な見解を示した。また、3つの接触プレーについては槙野氏、安田氏ともにファウルを取る必要のないコンタクトだと話した。
元国際審判員・プロフェッショナルレフェリーの家本政明氏は、カードについて「宇佐美選手は遠いところからわざわざ自分から行っている。対立を起こしたところで反スポーツ的行為というのは妥当だと思う。小泉選手のところはちょっと当たって倒れる。どの程度かはグレーなところはあるけど、出されたカードに大きな間違いはないと思う。ただ、フットボール的に間違った行為(カンテの黒川へのファウル)へのカードが消えているのは気に掛かる。頭を当てに行くところはレッドカード寄りの判断だと思うが、元々のきっかけのところ。(審判団が)6人いるので、共有できなかったか。結果的に消えてしまった」と話した。
また荒木レフェリーが対立のなかに入り込まず全体を観察したうえで判定していることの判断には問題がないとしている。一方で、それらの色々なことが起きたことで元々のファウルに対するカードが消えてしまったことには疑問を呈した。
また、家本氏は3つの接触プレーについて後半2つはフットボール・コンタクトで問題ないと見解を示し、最初のカンテと福岡の接触については「誰が接触を起こしたかと言うと、カンテ選手からぶつかりに行っている。それはファウルなのかと言うと、許容できる。ぶつかったことで、おっとなったそのタイミングで腕が掛かってしまった。それが引き倒したという見方もあるけど、自分からぶつかりに行ってカンテ選手も押しに行っているので、イーブンとして許容するのは良いと思う。荒木さんの判断は良かったと思う。その後の話は、別のことなので」と、見解を示した。
ただし、VARとの交信からオンフィールドレビュー、最終的な判定まで10分ほどかかったことについて家本氏は「ちょっと長い」として、その間にベンチコントロールを含め5つくらいの事象があったが「5分近くかかるのは分かるが、10分近くというのは、もう少しやりようがあったのではないか」と話した。
一方で家本氏は、G大阪のダニエル・ポヤトス監督と浦和のマチェイ・スコルジャ監督について「周りのスタッフやサブの選手が興奮しているが、落ち着け、下がれとリーダーシップを発揮している。(浦和の)酒井宏樹選手もキャプテンシーを発揮して両チームの選手を収める。ある意味では、学びの多い良いシーンもあった」とし、槙野氏も「酒井が自分のベンチが慌ただしい時に、冷静になれと言いに行ったのが印象的だった」と、話していた。安田氏も「スタッフは監督が熱くなれば自分が先にいって監督を守ろうとする。監督が冷静でいるのは大事だし、経験ある選手が止めるのは大事」とコメントしていた。