FC東京の逆転劇導く「偽ボランチ」 松木玖生を唸らせたベテランの“ハイリスク”な判断

FC東京の森重真人【写真:Getty Images】
FC東京の森重真人【写真:Getty Images】

過去8試合未勝利だった鳥栖戦で3-2逆転勝ち、森重の機転を利かせた判断が光る

 FC東京は9月23日のJ1リーグ戦で、過去8試合未勝利のサガン鳥栖と対戦し、前半で0-2のビハインドを背負った。未勝利を「9」に伸ばすことが濃厚な前半で、ロッカールームに戻る選手たちにはゴール裏のサポーターから「意地見せろ」と檄が飛んだ。

【注目】白熱するJリーグ、一部の試合を無料ライブ配信! 簡単登録ですぐ視聴できる「DAZN Freemium」はここから

 しかし、後半に入ると3点を奪って逆転。ピーター・クラモフスキー監督の「前からボールを奪いに行こう」という言葉に加え、ベテランの経験がモノを言った。MF松木玖生は、「すごく堀米選手が嫌な位置にいて、ボランチもなかなか捕まえにくかった。そこを後半に修正できた」と、前半と後半の大きな変化を語る。

 そのMF堀米勇輝を後半にマークしていたのが、最終ラインにいたDF森重真人だった。「どうにかして逆転するしかなかったので。そこはハイリスク、ハイリターンだったんじゃないかなと思います」と語る森重は、自らが前に出て堀米に起点を作らせないことで、FC東京は鳥栖の攻撃を機能不全に陥れた。

 センターバックがDFエンリケ・トレヴィザンだけになる、まさに「ハイリスク・ハイリターン」な戦い方だったが、これが機能した。

 松木は「森重さんが個人的な考えで、あそこまで付いて行ってくれた。それがすごくチームのための行動だったので、ボランチからしてもやりやすかった。森重さんも『偽ボランチ』ではないですが、ボールに関わってくれたので。その分、リスク管理も伴いましたが、エンリケが潰してくれて良かったと思う」と、森重の個人戦術の効果を語った。

 この判断について、森重は「あそこが起点だったので。前半も最初のほうがそうだった。そこを自分が潰すことで、全体がちょっと落ち着いたかなと。あとはうしろでエンリケがしっかり頑張ってくれたので、良かったかなと思います」と、振り返った。

 その森重は後半40分に途中交代に。足を痛めてベンチへ退いたのかと思われたが、「(途中交代は)シンプルに運動量を増やして疲れただけなので。その分、エンリケもしっかり1対1になっていましたが勝ってくれて、それぞれが何とか逆転したいという思いで戦って、それが今日はうまく良い方向に転んだかなと思う」と、振り返った。

 チームが結果を出すために選手たちが懸命に取り組んだことをポジティブに捉え、「バタバタした試合だったけど、意地は見せられたと思う」と、サポーターの声に答えられた感触も口にした。

(河合 拓 / Taku Kawai)



page 1/1

今、あなたにオススメ

トレンド

ランキング