横浜FM、J終盤戦「過密日程」とどう向き合う? 「どんどん試合やりたい」…水沼宏太の言葉から伝わるチームのムード【コラム】
ACLを戦う横浜FM、リーグ&ルヴァン杯との戦いも兼ねながらシーズン終盤戦へ
今シーズンのJリーグも佳境に入っているが、J1の優勝争いは7節を残して、首位のヴィッセル神戸から7位のサンフレッチェ広島まで勝ち点8差で、ここ数年にない混戦となっている。ここで少なからず影響し得るのが、それぞれのチームが戦う試合数の違いだろう。
ACL(AFCチャンピオンズリーグ)に出場する2位横浜F・マリノスと4位浦和レッズは日程が厳しくなり、両チームともルヴァン杯でも準決勝に勝ち上がっている。リーグ戦の最終節までに行われる試合数は14試合で、リーグ戦しかない神戸や3位鹿島アントラーズ、6位セレッソ大阪よりも7試合多いことになる。ルヴァン杯の決勝に進めば、当然ながら1試合増える。
しかし、前回王者の横浜FMにそういった状況を言い訳にする空気は感じられない。それどころか“不利”とも捉えていない選手がいる。クラブのアカデミー育ちであり、栃木SC、サガン鳥栖、FC東京、C大阪を渡り歩き、横浜FMに復帰して4シーズン目となる水沼宏太だ。
9月15日に行われた第27節のサガン鳥栖とのホームゲームで、右ウイングでスタメン起用された水沼。多くのチャンスに絡みながらも無得点で後半19分、FWヤン・マテウスと交代した。
「自分たちがいい流れの時間帯があったなかで、僕自身も出てる時間にしっかり仕留めることができれば良かった」と振り返ったが、中3日で迎えるACLの開幕戦(仁川ユナイテッド)に向けては、非常に前向きにイメージしているようだ。そして今後、ACLやルヴァン杯があることで、ライバルより過密日程になることもポジティブに捉えている。
「ACLは違う大会になりますけど、試合がたくさんあると修正しやすく、いい時間もたくさんあるということにも置き換えられるので。僕自身はポジティブにしか捉えてないですし、楽しみにしてます。コンディションも自分の中では相当いいので、動けてるなって。どんどん試合をやりたいですし、それが選手として幸せなことなので」
そしてこの時期に試合を多くやれるというのは「強いチームしかできない経験」と言い切った。
「(リーグ戦しかないチームと違い)自分たちにまだ10数試合もある。それを幸せに感じられるか、感謝できるか。レベルアップの場として感じられるかはこれからの自分たち次第なので。僕自身はポジティブです」
河治良幸
かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。