森保ジャパン、9月シリーズ出場全25人の「パフォーマンス採点」 最高評価が3人、熾烈ポジション争いの中盤で最低点は?【現地発】
欧州の強豪相手に2連勝 森保ジャパンの底上げに成功
森保一監督率いる日本代表は9月の欧州遠征でドイツ代表に4-1、トルコ代表に4-2でそれぞれ勝利を収め、明らかなレベルアップを示した。今回招集されたメンバーのパフォーマンスを改めて振り返るべく、ここでは26人中出場25人(森下龍矢を除く)を10点満点で採点していく。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小杉舞)
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◇ ◇ ◇
<GK>
シュミット・ダニエル(シント=トロイデン) 6.5
大迫敬介(サンフレッチェ広島) 7.0
中村航輔(ポルティモネンセ) 6.0
GKはほとんど横一線。強いて言えばドイツ戦でサプライズ起用となった大迫が堂々としたプレーを見せて今後につながる立ち位置を得た。中村航はトルコ戦での負傷交代が悔やまれる。ファンブルしてしまったミスを取り戻したかった。シュミットは起用法から序列を下げたように思えたが、トルコ戦で急遽出場したにもかかわらず安定感を見せアピールに成功。守護神の争いは10月も継続しそうだ。
<DF>
板倉 滉(ボルシアMG) 8.5
菅原由勢(AZアルクマール) 8.5
冨安健洋(アーセナル) 9.0
伊藤洋輝(シュツットガルト) 8.5
毎熊晟矢(セレッソ大阪) 8.0
谷口彰悟(アル・ラーヤン) 7.5
町田浩樹(ロイヤル・ユニオン・サン=ジロワーズ) 7.0
橋岡大樹(シント=トロイデン) 6.5
森下龍矢(名古屋グランパス)※採点なし
DFではやはり冨安のパフォーマンスがひと際輝きを放ち、今遠征においてMVP級のものがある。「もちろん自信を失う時期もあった」という冨安が再び代表の舞台に戻ってきた。センターバック(CB)ではA代表で初めて板倉とコンビを組み、危なげないプレーを見せた。ビルドアップ含めて今後さらなる連係向上を図れば、日本代表の未来は明るい。
両サイドバック(SB)も評価を高めただろう。伊藤洋は唯一の2試合連続フル出場で90分通してアピールできた。伊藤洋の高さ、左足でのフィードも今後さらに生かすことになるだろう。ドイツ戦ではFWレロイ・サネとの1対1に苦しんだが、粘り強く戦った。右SBの菅原は安定して高水準のパフォーマンスが可能。クロスの精度も高く、三笘薫の対策をされても脅威の右サイドからの打開が今後、アジアと戦ううえでもカギとなってくるだろう。
全体的に最終ラインは高評価。だが3失点を喫しており、反省すべき点はある。レギュラーが固まりつつあり、今後はさらに強固なものとなっていくだろう。
そのなかで、さらに期待が懸かるのが毎熊。A代表デビュー戦で堂々とクレバーな動きを見せて観る側を驚かせたのではないか。菅原の牙城を崩す候補となれば森保ジャパン全体の底上げになる。
伊東、遠藤がアピールに成功、田中は守備面で不安を露呈
<MF>
遠藤航(リバプール) 9.0
伊東純也(スタッド・ランス) 9.0
鎌田大地(ラツィオ) 8.5
三笘 薫(ブライトン) 7.5
守田英正(スポルティング) 8.0
久保建英(レアル・ソシエダ) 8.0
中村敬斗(スタッド・ランス) 7.5
堂安 律(フライブルク) 6.5
伊藤敦樹(浦和レッズ) 6.5
田中 碧(デュッセルドルフ) 6.0
前田大然(セルティック) 6.5
攻撃陣も全体的に評価が高まるなか、伊東と遠藤は外せない。ここに鎌田も加わった中盤3人の安定感と経験値が発揮された9月シリーズとなった。遠藤のボール奪取力とデュエルの勝率、鎌田のパスセンス、伊東の圧倒的なスピード。そのなかで、トルコ戦で先発したボランチの2人伊藤敦と田中にはもうひと踏ん張りしてもらいたい。ゴールを奪ったものの、遠藤と守田のコンビに比べると守備面で差があると言わざるを得ない。盤石な2人に続くさらにもう1段階レベルアップしたボランチになってもらいたい。
2列目の争いは伊東が1つ抜けたなかで、まだまだ熾烈。三笘、久保にゴールはなかったものの、それ以外では評価できるプレーも多かった。自身も得点に飢えているなかで周囲を生かすプレーは秀逸だ。久保に関してはトップ下でも多く顔を出していたが、本人も「右で使ってもらえたら」と話すように伊東との右ウイング争いは継続中。アジアとの戦いでは伊東のスピードを武器にする一方で、違いを出せる久保がどこまで相手を疲弊させられるかがカギとなりそうだ。
<FW>
上田綺世(フェイエノールト) 8.5
浅野拓磨(ボーフム) 7.0
古橋亨梧(セルティック) 7.0
頭1つ抜けたのが上田だろう。ドイツ戦のパフォーマンスはこれまでの上田とはひと味もふた味も違った。本人も「今日の試合は違う感覚というか、違う実感を得られたなというのは、自分の中で達成感も含めて多少あります」と、新たな日本代表の武器としての自覚を持っていた。そのなかで、2本の決定機を決め切っていればさらに評価は高まった。一方で浅野と古橋も奮闘。浅野はゴールを決めており、そのスピードはアジアでも通用するはず。古橋はゴールがほしかったが、ライン間の駆け引きや消える動きは発揮できていた。トルコ戦のチーム3点目では斜めの動きで相手を誘い出し、中村敬のゴールを引き出した。なかなかゴールに恵まれないが、まだまだ1トップ争いで踏ん張ってほしい。