【専門家の目｜家本政明】冨安対サネの攻防シーンに家本氏が驚き「あの2つのシーンはすごかった」

　森保一監督率いる日本代表は現地時間9月9日に行われたドイツ代表戦で、4-1の快勝を飾った。元国際審判員・プロフェッショナルレフェリーの家本政明氏が、日本代表DF冨安健洋（アーセナル）の“クリーン”なタックル2つを絶賛している。（取材・構成＝FOOTBALL ZONE編集部・金子拳也）

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　前半は4-2-3-1システムで真っ向勝負を挑んだ日本。前半11分にMF伊東純也がDF菅原由勢からの右クロスを合わせて先制に成功する。その後MFレロイ・サネに同点ゴールを許すも、同22分にFW上田綺世のゴールで前半のうちに勝ち越しに成功した。

　後半は3バックに変更し、日本がカウンタースタイルを試す。試合終盤に途中出場のMF久保建英の2アシストで、FW浅野拓磨とMF田中碧にもゴールが生まれて4得点で大勝を飾った。

　とりわけ称賛されたのは、システム変更にも柔軟に対応し、サネ相手に見事な守備を披露した冨安だ。4バックではセンターバック、3バックでは最後尾の左に入った冨安は、2つのシーンで日本のピンチを救っている。

　まずは前半45分に日本が前がかりになった際、サネへスルーパスが通された場面。猛ダッシュで迫った冨安が並走するとペナルティーエリア内で相手がシュート体勢に入ったところで左足を出し、コーナーキックへ免れた。

　また後半には、再びピンチの場面で冨安が完璧なディフェンスを見せる。自陣ペナルティーエリアの左側、深い位置での攻防で冨安はサネを激しいショルダーチャージで吹き飛ばす。しっかりとボールを回収している。

　家本氏は試合を通し「全員素晴らしかった」とドイツ戦の日本を称えるとともに、冨安の守備について「あの2つのシーンはすごかった。びっくりした」と驚きを隠せない様子だった。

「『すごい日本人を見ちゃったな』という感覚。プレミアでプレーしている彼からすれば当たり前なのかもしれない。時差もないしすごくいいコンディションで臨んでいたのは確かだが、それでもあの2つのシーンはすごかった。びっくりした」

　家本氏はそう評したうえで、それぞれのシーンをレフェリー目線で解説している。

　前半のタックルに関して「Jリーグだとタックルに行ってPKだというシーンをよく見るが、あれを追い付いて身体を当てに行く。ヨーロッパでは普通だが、日本人がやったことにすごいと感じた」と、Jリーグとの対応の差を指摘。冨安の欧州仕様のスピードを絶賛した。

　2つ目の激しいタックルの場面には「全然ノーファウルだし、正当なチャージ」と、クリーンな守備だったことを強調しつつ「簡単にタックルで身体を投げ出すのではなく、まずは正当に身体を当てに行く。ああいうシーンは日本でも見たい」と個人的な意見も口にしている。

　ボールを奪うまでの流れはまさに“プレミア仕様”で、家本氏は「スピードとタイミング、そしてチャレンジの仕方はやはり現地の経験によるものだ」と見解を示していた。