「クロップは新たな中盤の問題を抱えている」 リバプールの“最適案”を地元紙が分析「守備志向の遠藤は…」

リバプールの新たな中盤を地元紙が分析【写真:ロイター】
リバプールの新たな中盤を地元紙が分析【写真:ロイター】

今夏の移籍市場で中盤の顔ぶれが一新したリバプール

 イングランド1部リバプールは今夏、中盤で5人が退団し、日本代表MF遠藤航を含む4人の新戦力が加わった。大刷新の移籍市場となったが、地元紙「リバプール・エコー」は「1億5100万ポンド(約280億円)の補強後、ユルゲン・クロップは新たな中盤の問題を抱えている」と見出しを打ち、中盤の最適な組み合わせについて、4人の記者の意見を提示している。

 昨季限りで契約満了となった元イングランド代表MFジェームズ・ミルナーがブライトン(イングランド)、ギニア代表MFナビ・ケイタがブレーメン(ドイツ)、元イングランド代表MFアレックス・オックスレイド=チェンバレンがベジクタシュ(トルコ)へと移籍。さらに、主力を務めていた主将のイングランド代表MFジョーダン・ヘンダーソンがアル・イテファク(サウジアラビア)、ブラジル代表MFファビーニョがアル・イテハド(サウジアラビア)に引き抜かれた。

 それに対し、アルゼンチン代表MFアレクシス・マック・アリスター(←ブライトン)、ハンガリー代表MFドミニク・ソボスライ(←RBライプツィヒ/ドイツ)、遠藤(←シュトゥットガルト/ドイツ)、オランダ代表MFライアン・フラーフェンベルフ(←バイエルン・ミュンヘン/ドイツ)が新戦力として加入。ここに加えて、MFカーティス・ジョーンズ、MFハーベイ・エリオット、MFチアゴ・アルカンタラら複数人が在籍しているわけだが、記事では「リバプールの中盤には豊富なオプションが整ったが、クロップにとって最善の組み合わせはどれになるのだろうか?」と打ち出し、4人の記者の意見を並べている。

「私にとってリバプールで最も優れた中盤選手なのは…」

 ポール・ゴースト記者は「今後の数か月を通して、クロップは中盤3人について状況に応じた採用をするだろう。粘り強く守備志向の遠藤はアンカーに必要となる局面が多いだろうが、対戦相手が守備的に挑んできた際は、より攻撃的な選択肢を起用するだろう。新たな中盤人員で最も特徴的なのは、技術の卓越性があることだ。これまでのような、ハードワークやプレッシングを特色としたスタイルとは異なるアプローチになるだろう」と見解を述べた。組み合せとしては、チアゴ、マック・アリスター、ソボスライの3人をバランス的にも推奨している。

「必ずしも第一候補は存在しないかもしれないが、組み合わせを選ぶとすれば、負傷やフィットネスの問題を抱えているものの、私にとってはやリバプールで最も優れた中盤選手なのはチアゴであり、彼をテクニカルで質の高いマック・アリスターをボランチとして共存させたい。そして彼らの前には、疲れ知らずで不屈のソボスライを起用する。伝統的なデストロイヤー(ガツガツ削りにいく選手の表現)のタイプは、あまり必要とされないのではないだろうか」

 一方、イアン・ドイル記者は「リバプールに確固たる先発の中盤を求める人々にとっては悪いニュースだ。現状、そのような存在はいないのだから。そして、クロップが常に状況に応じたアプローチを追求しており、最適案が明らかになるまでに時間を要するだろう。次の2試合を考えよう。ウルブズ戦では、前節のアストン・ビラ戦の先発3人の続投で驚きはないだろう。つまり、マック・アリスターが守備的MFに置かれ、カーティスが左、ゾボスライが右に配置されることになる」と言及。遠藤にも、ヨーロッパカップ戦を中心にチャンスはあると考えているようだ。

「しかし、その5日後にあるLASKとのヨーロッパリーグ(EL)初戦では、選手交代があるはずだ。遠藤がアンカーで起用され、エリオットが右に配置されるはずだ。左には、おそらく新加入のフラーフェンベルフが採用されるだろう。そして、負傷しているチアゴ、将来性を買われているボビー・クラーク、復帰を果たしたステファン・バイチェティッチの加勢で、状況も変化してくる。選手のポジション争いの活性化こそ、クロップがあえて第1候補を固めない理由だ」

新加入ソボスライは「先発の座を確定させている」

 トム・カビラ記者は、「リバプールにとって、主要選手のフィットネスを維持することが課題になる」と指摘する。

「マック・アリスターとソボスライは、加入後即座に影響を与え、これまでのパフォーマンスから見ても、クロップにとって頼りになる選択肢だ。ファビーニョの退団により、アンカーには誰も立場を確立していない空席ができた。この席に最も適した選手は誰なのかという点で、クロップは試験を行っている。プレシーズンではカーティスがアンカーで試されたが、及第点に終わっていた。

 マック・アリスターの希望するポジションではないかもしれないが、現時点では彼がそこに留まる必要性があるかもしれない。なぜなら、リバプールはチアゴの復帰を待っており、フィットネスが整っている限り、このスペイン人のクオリティーを考えると、シンプルに先発に選ばれるべきだからだ。フラーフェンベルフは徐々にチームに組み込んでいく存在であり、カーティスやエリオット、バイチェティッチは途中出場で影響をもたらすことができる」

 さらに、キーファー・マクドナルド記者は、「全員が万全である時、リバプールの最適な中盤構成はどれなのか。負傷経歴が多いものの、最も優れているのはテクニカルなチアゴだ。マンチェスター・シティ戦、マンチェスター・ユナイテッド戦、アーセナル戦に臨む際、彼は出場することになるだろう。一方で、ソボスライは目を見張るパフォーマンスにより、現時点で先発の座を確定させている」と中盤の2枠はすでに埋まっているとの持論を展開。残る1枠を遠藤、マック・アリスター、ジョーンズが争うとしている。

 4人の意見で大方共通していたのは、チアゴが復帰した際は序列が高いという点、また、中盤の底には守備職人ではないマック・アリスターがしばらくは起用されていくという点だった。遠藤はこの厳しいポジション争いに挑んでいくことになるが、限られた出場時間で着実にアピールしていきたいところだ。

(FOOTBALL ZONE編集部)



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