ドイツ代表は「心理的な問題がある」 母国紙、専門家の警鐘を報道「すぐに言葉で攻撃し、傷つけ合う」

日本と対戦するドイツ代表【写真:ロイター】
日本と対戦するドイツ代表【写真:ロイター】

現地メディアが心理学の観点から問題点を考察

 ドイツ代表は昨年のカタール・ワールドカップ(W杯)のグループリーグ敗退以降、思うような成績が残せていない。母国でも危機感が高まっているなか、現地メディアが心理学の観点から考察を展開している。

 2022年に行われたカタールW杯でE組に入ったドイツ。初戦で日本代表に1-2と逆転負けを喫すると、勢いに乗れず1勝1分1敗でグループリーグ敗退が決定した。チームの立て直しが求められた今年3月、6月の国際親善試合では、5戦を戦い1勝1分3敗。未だ厳しい戦いが続いている。

 ドイツは今後、現地時間9月9日(日本時間10日未明)に日本との再戦、同月12日にはカタールW杯で準優勝の成績を残した強敵フランス代表との一戦を控える。ドイツ地元紙「Frankfurter Rundschau」は、「ハンジ・フリック監督が次の日本戦、フランス戦で職を賭けて戦う」と危機的状況を示し、スポーツ心理学の観点から泥沼脱出のヒントを探っている。

「最近のドイツ代表チームは期待外れだった。専門家はチームの精神状態を批判」と見出しを取り、スポーツ心理学者マティアス・ヘルツォーク氏の考察を紹介。危機に瀕している代表について「選手には心理的な問題がある。ここ数年、失敗が多くなっているね。時折ポジティブな出来事もあったが、自信を深めるような新しい場面はなかった」と選手たちの心理状態を想像した。

 ヘルツォーク氏は続けて「代表チームは長年、正々堂々とサッカーをする集団だった。上手くいっているときは、大きな壁に向かって全員がプレーできる。ただ調子が悪くなると、みんな潰れてしまう。責任を負い、明確で、率直で、厳しく、同時にポジティブな方法でコミュニケーションをとり、やる気を起こさせる真のリーダーがいないのだ」と問題点を指摘している。

 現在の代表チームについては「エゴイストの集まりだ」と選手の特徴を話す。「(レオン・)ゴレツカのような選手は、自分が考慮されないと感情的に失望を示すだけでなく、文字通り愚痴をこぼす」と名指しで例を挙げた。そのうえで「選手たちの胸にある雄大なドイツの鷲は、現在、むしろクリスマスのガチョウのように見える」と比喩を用いて厳しい言葉を並べている。

 ドイツ代表のドキュメンタリーを基に、ヘルツォーク氏はコミュニケーションについての問題にも深く切り込む。「スター選手たちはプレッシャーと緊張の中で、もはや常識的なコミュニケーションをまったく取れなくなっていることがわかる。導火線が短いので、すぐに言葉で攻撃し、傷つけ合う。彼らは逆恨みばかりしている」とチームの不和を指摘した。

 そんななか、ヘルツォーク氏は専門家としてメンタル面での解決の糸口を提案する。「特にメンタル面では、選手1人1人がどれだけの責任を負いたいと思うかを口にし、明らかにすることだ。ここ(ドキュメンタリー)では、そのようなことは一切なかったようだがね」と持論を展開した。

 記事内ではハンジ・フリック監督が「権威に問題を抱えている」といった別の視点も加えつつ、ドイツ代表の心理状態を探っている。迎える日本、フランスとの親善試合は、公式戦(欧州選手権)前のドイツにとって自信を取り戻す最後のチャンスだ。迎え撃つ日本も、厳しい戦いが予想される。

(FOOTBALL ZONE編集部)

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