J1名古屋×横浜FC、オフサイド有無以外にもあった論点 専門家指摘「GKを蹴っている」
名古屋のゴールシーンにオフサイドの反則があったかどうかを議論
スポーツチャンネル「DAZN」の判定検証番組「Jリーグジャッジリプレイ」で、9月2日のJ1第26節、名古屋グランパスと横浜FCの試合が取り上げられた。ここでは、名古屋のゴールシーンにオフサイドの反則があったかどうかが議論された。
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この場面は前半22分、名古屋がペナルティーエリア内でMF和泉竜司からFWキャスパー・ユンカーに向けシュート性のラストパス。これをDFマテウス・モラエスがスライディングでボールに触ったところ、こぼれ球をMF稲垣祥が押し込んだ。当初、五十嵐泰之アシスタントレフェリーがフラッグアップしてオフサイドの反則となったが、柿沼亨VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)からの進言で木村博之レフェリーがオンフィールドレビューを実施。映像上では和泉がプレーした瞬間にユンカーがオフサイドポジションにいたが、判定はオフサイドではなく名古屋のゴールに変更になった。
ゲスト出演した水沼貴史氏はユンカーについて「関与しているか、DFやGKにどれだけインパクトを与えているかとすると、あまりそこには関係ないと思う。副審から見ると間違いなくポジションがオフサイドなので(フラッグを)上げるのは当然かなと思う。ただ、VARがもう1回見直してみたら、(オフサイド)ポジションにはいるけどそんなに関与していないから得点でいいのではないかなと」と、判定の流れを推察した。
同じくゲスト出演したセルジオ越後氏は「2つ考えられる。ユンカーがオフサイドのところで無理した守りを誘ったので関与したということも考えられる。あの体勢で触らなかったらボールがこぼれてユンカーがオフサイドなので、参加したという意味がそこにあってもおかしくない。どっちにも取れる」と話した。
水沼氏は「(モラエスが)意図を持っていたか。その判断は難しい。その人にならないと分からない」として、セルジオ氏は「背中に入っているから見えない。ボールを見ていてユンカーを見ていないから、オフサイドトラップをかけようもない」と、モラエスのプレー意図について話した。
ユンカーのノット・オフサイドは妥当、一方で稲垣のプレーは…
元国際審判員・プロフェッショナルレフェリーの家本政明氏は「結論からすると木村主審の下したノット・オフサイドが、現状の競技規則の理解では正しいと認識している。オフサイドかどうかについては、木村主審の判断は適切だと思う」と判定を支持した。ユンカーについて「プレーをしにいったというより、その場にいた。そこにDFがいったので、オフサイドの反則を犯したとは解釈しない。こぼれたボールをユンカー選手がプレーすれば利益を得たことになるけれども、プレーしたのは稲垣選手。ユンカー選手はオフサイドポジションにいただけで相手を妨害していない。相手の方向にも動いていないので、妨害したとは解釈しない」と話した。
一方で、家本氏は「1つ気になるのは、稲垣選手が右足でボールに触れたあとに結果的に左足でGKのお腹を蹴ってしまっている。これを正当なプレーというのか、反則というのか、程度はどれくらいか、懲戒罰にあたるかどうかはもう1つの論点。ただ、ユンカー選手のオフサイドかどうかに注目してしまうとその後の接触は消えてしまうが、本当はオフサイドがなかったので得点ならAPPに戻って(攻撃側の)反則と言える事象がなかったかをチェックしなければいけないが、映像で見る限りは懲戒罰に近い行為が結果的にある。十分に稲垣選手の左足がGKを配慮なく蹴ってしまっている(と言える)」と、稲垣のプレーを反則としてゴールを取り消す可能性に言及していた。