本懐を遂げた山形の“山の神” 昇格の立役者GK山岸がまたも大仕事
山の神に残る今季最後の大仕事
01年のプロ入り後から浦和一筋だった。だが、今季は日本代表GK西川周作が加入。足元の技術をGK選考の最上位に置くミハイロ・ペトロビッチ監督の方針で今季は出場機会を失い、3番手のGKという位置付けとなってしまった。ベンチ入りすらもままならない苦しさと、悔しさを味わってきた。
山岸の抜けた浦和は、リーグ終盤に世紀の失速を演じた。男は、その古巣とは対照的な勝負強さで山形を悲願達成に導いた。06年のJ1優勝など黄金時代の浦和で活躍した意地と誇りが、守護神を突き動かしていたのかもしれない。
浦和はJ2北九州にレンタル移籍をしていたGK大谷を来季復帰させることを発表した。「何とか埼スタで奇跡が起こってほしい」とレッズの栄光を願っていた山岸だが、来季は山形残留を含め、古巣を去る可能性も高くなった。
「クラブがこの先発展していくためにチーム、スタッフ、サポーターも努力して一歩ずつ成長していく。満足して歩みをやめると新たな歴史は作れない」
そう言葉にした山の神には大仕事が残されている。山形は13日には天皇杯決勝でJ1G大阪と激突する。「大きな試合が残っている。勝ちたい」。この神は、もう一度、クラブに歓喜をもたらすつもりだ。
【了】
サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images
page1 page2