雰囲気、設備、芝の状態…日本代表OBが忖度なしで選出 “プレーしやすかった”スタジアムTOP5【見解】
埼玉スタジアムはサポーターの力が驚異的
サッカーを語るうえで、スタジアムは欠かすことのできないファクターの1つだ。「FOOTBALL ZONE」では、サッカーのハード面にフォーカスして、スタジアムの特集を展開。現役時代に横浜F・マリノス一筋で18年間プレーした元日本代表DF栗原勇蔵氏に、選手目線でプレーしやすかったスタジアムを訊いた。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)
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■1位:埼玉スタジアム2002
(浦和ホーム/6万3700人収容/2001年開場)
雰囲気:★★★★★
設備面:★★★★★
プレーのしやすさ:★★★★★
アジア最大級であるサッカー専用スタジアムの埼玉スタジアムは、サポーターの力を肌で感じる距離感が1つの特徴だと思います。日本代表の活動でも使ったので、ホーム、アウェーの両方の雰囲気を知っていますが、味方としてはあれほど頼もしいものはないし、敵としてはあのサポーターの圧は脅威です。収容力を含めて、海外のクラブのスタジアムと比べても遜色ないし、ベンチがピッチ上ではなくて、一段落ちている感じも、少し海外感がある気がします。アップ場も屋内で、ふかふかした人工芝で広さもある。アップからきっちりできる設備が整っています。お風呂も圧倒的に一番広い。ピッチ上も含めて、トータルで日本一のスタジアムだと思います。
■2位:IAIスタジアム日本平
(清水ホーム/1万9495人収容/1991年開場)
雰囲気:★★★★☆
設備面:★★★★☆
プレーのしやすさ:★★★★★
IAIスタジアム日本平は会場内の設備は少し年期が入っているかもしれませんが、とにかく芝の状態が素晴らしくて、プレーしやすかった。それはベストピッチ賞に計9回(2004、08~15年)輝いていることでも実証されています。プラスで、専用スタジアムの雰囲気も良かった。日本平で勝っている印象があって、相性が良かったのも少し関係しているかもしれません(笑)。僕も見ていた初期の頃の応援歌が流れたりするのも懐かしいなと思います。
■3位:日産スタジアム
(横浜FMホーム/7万2327人収容/1998年開場)
雰囲気:★★★★★
設備面:★★★★☆
プレーのしやすさ:★★★★☆
どうしてもサッカー専用スタジアムのほうがやりやすいので、印象には残りがちですが、日産スタジアムが満員になった時の雰囲気は圧巻です。優勝争いをしていた2013年のアルビレックス新潟戦(11月30日のJ1リーグ第33節/6万2632人)、優勝した19年のFC東京戦(12月7日のJ1リーグ第34節/6万3854人)は6万超。サッカー専用スタジアムで2~3万人入るのとは違って、その倍の観客が入る。あの雰囲気はピッチとスタンドが少し離れているのも感じさせないし、ほかのスタジアムでは味わえないので、気合いも必然と入りました。芝の状態も良かったです。
パナソニックスタジアム吹田は「必要なものが備えられている」理想の形
■4位:パナソニックスタジアム吹田
(G大阪ホーム/4万人収容/2016年開場)
雰囲気:★★★★☆
設備面:★★★★★
プレーのしやすさ:★★★★☆
設備面は新しいスタジアムが有利。ロッカーもヤットさん(遠藤保仁/ジュビロ磐田)がリクエストしたと言われるコンセントが1人1つあったり、非常に良かった。新しくて、必要なものが備えられている理想の形だと思いました。スタンドとピッチもすごく近いし、芝もいいので、印象に残っています。
■5位:札幌ドーム
(札幌ホーム/4万1484人収容/2001年開場)
雰囲気:★★★★☆
設備面:★★★★☆
プレーのしやすさ:★★★★★
札幌ドームは屋内の温度調整がされていて、涼しくてすごくいい。サッカーも全部屋内のスタジアムになって、空調が効いていたら、暑さに気を遣うことなく、もっと戦術などに気を遣えるので、パフォーマンスが上がる気がします。見ているほうも楽ですよね。スタジアム全体の雰囲気も良かったし、ベンチも少し違った感じでした。
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今回選んだ5つ以外では、川崎フロンターレのホームである等々力陸上競技場も印象深いスタジアムの1つです。等々力は1人ずつ入れるアイスバスが付いています。ブラジルに行った時に、スタメン11人が入れる分のアイスバスが用意されていましたが、そういったサッカーのための設備が日本でも取り入れられつつあるなと。ピッチとスタンドは少し遠いですけど、雰囲気は抜群で、F・マリノス対川崎はダービーで盛り上がるプラスアルファ要素もありました。
(FOOTBALL ZONE編集部)
栗原勇蔵
くりはら・ゆうぞう/1983年生まれ、神奈川県出身。横浜F・マリノスの下部組織で育ち、2002年にトップ昇格。元日本代表DF松田直樹、同DF中澤佑二の下でセンターバックとしての能力を磨くと、プロ5年目の06年から出場機会を増やし最終ラインに欠かせない選手へと成長した。日本代表としても活躍し、20試合3得点を記録。横浜FM一筋で18シーズンを過ごし、19年限りで現役を引退した。現在は横浜FMの「クラブシップ・キャプテン」として活動している。