なぜ「世界に認められた」日本はスウェーデンに敗れた? 中国識者が指摘「相手の高さを恐れて混乱したように見えた」
欧州勢のレベルアップにも注目
なでしこジャパン(日本女子代表)は8月11日、オーストラリアとニュージーランドで共催中の女子ワールドカップ(W杯)準々決勝でスウェーデンと対戦。2点ビハインドから1点を返したが、1-2で敗れてベスト4進出を逃した。同じアジア勢の中国では、「相手の高さに恐れ、混乱したように見えた」と伝えている。
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試合は前半32分、セットプレーからスウェーデンに波状攻撃を許すと最後はゴール前のこぼれ球をDFアマンダ・イルステッドに蹴り込まれてしまう。日本はこの失点により今大会で初めてビハインドを背負う試合展開になった。
0-1のビハインドで迎えたハーフタイム、日本はMF杉田妃和からMF遠藤純へのスイッチを決断。しかし後半立ち上がり、相手のコーナーキックからゴール前の混戦で、目の前でコースが変わったボールがMF長野風花の手にヒット。プレーは流れたが、ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)の進言でオンフィールドレビューに。その結果、PKと判定されて後半6分にMFフィリッパ・アンゲルダルの追加点を許してしまった。
少しずつ敵陣でのプレー回数を増やした日本は後半23分にMF長谷川唯がペナルティーエリア内まで進出してシュートを放つも枠外。3分後には長野のパスからMF藤野あおばがシュートを放つも相手GKに阻まれた。そして後半29分にFW植木理子がドリブルで切り込むと相手のファウルを誘い、PKを獲得。しかし、自ら狙った植木のシュートはクロスバーを直撃して真下に跳ねたもののゴールラインを割っておらずゴールにはならなかった。
1点が遠い試合になった日本だが、諦めずに攻撃を続けると後半42分にMF清家貴子のクロスがこぼれたところに走り込んだMF林穂之香が蹴り込み、途中出場の2人が絡んで1点を返した。しかし、このまま1-2で敗れ、大会から姿を消した。
中国公共放送「CCTV」などで長くキャスターを務めた黄健翔(ファン・ジェンシャン)氏は、中国大手メディア「SOHU」で「日本は敗れたが、素晴らしい戦いで世界に認められた。しかし、スウェーデン戦では戦術面は良かったが、フィジカル面の劣勢が大きく、相手の高さを恐れて混乱したように見えた」と、北欧勢の体格に苦しめられた点を指摘した。
また、「グループリーグでスペインは日本に敗れたが、彼らはスウェーデンを避けてベスト4に勝ち残った。準決勝のスペイン対スウェーデンはどうなるだろう」として、日本に大敗したスペインがスウェーデンとどのような戦いを繰り広げるかにも興味を示している。
中国版X(ツイッター)「微博(Weibo)」でフォロワー40万人を誇るジャーナリストの敖铭(アオミン)氏は、欧州勢が今大会を席巻している点に着目。「スウェーデンなど欧州勢は、ハイレベルな欧州リーグで鍛えられている。欧州勢が育成、リーグ戦、マーケティングなど多方面で女子サッカーに力を入れ始めた成果が出てきた」と、欧州女子サッカー全体のレベル向上を好成績の理由に挙げた。
実際、ベスト4はすでにスペイン、スウェーデンが勝ち上がり、残る2枠もフランス、イングランドの勝ち上がりが有望視されている。また日本の敗退で準々決勝にして優勝経験国はすべて敗退し、初優勝国の誕生が確定した。さまざまな意味で新しい風が吹く今大会、栄冠を手にするのはどの国だろうか。