J1最少失点の浦和、鉄壁守備を築いた33歳コーチが解説「選手はマシンではない」 チームに浸透した理由「ゾーンで守る」
現在浦和は17失点で最少
J1浦和レッズは8月11日に定例のオンライン会見を実施。今回は、主にチームの守備面を担当するヴォイテク・マコウスキコーチが対応した。現在、J1で最少失点の浦和でプレシーズンのキャンプからディフェンスを構築しており「サッカーでは無失点で終わると平均的に勝ち点2.5を得ることができる」と、その重要性を数字で表現した。
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先日は攻撃担当のラファル・ジャナスコーチがオンライン会見を担当したが、今季から浦和はマチェイ・スコルジャ監督の方針で時にコーチが会見を担当する方式を取っている。チーム内では「マコ」の愛称で呼ばれるマコウスキコーチは母国ポーランドのレフ・ポズナンで、スコルジャ監督の下で1シーズンのコーチを経験したのちに今季から浦和へ。沖縄県でのプレシーズンキャンプでは「守備のメインルールだけれども、マンツーマンではなくゾーンで守る。ゾーンの守備を考えると最も重要なのがボールの位置で、次に見なければいけないのは味方の位置になる」と、チームに守り方を浸透させていった。
「プレスをかけるタイミングはあるけれども、選手たちはマシンではない。どのタイミングでスイッチを入れるのかは選手の判断が重要になる。プレスのスイッチを入れるタイミングはバックパスやボランチ同士のパスであることもあるが、いつ動くかはパスが出た瞬間。受けられた後に行っても遅れてしまう。基本はハイプレスに行くが、少し疲れているときに体力を回復するときにブロックを作って待つこともある。ただ、ブロックを作っているときもルールはある。細かいことは言えないけれども」
その結果、アジア屈指の攻撃陣を誇るアル・ヒラル(サウジアラビア)をAFCチャンピオンズリーグ(ACL)決勝の2試合で1失点に抑え、J1では22試合を終えて17失点の最少チームになっている。マコウスキコーチは「まず選手のクオリティー。それはDFだけでなく中盤やGKも関わってくる。また、コーチングスタッフの影響もあるでしょう。例えば塩田仁史GKコーチがセットプレーの守備担当。そこで失点していないことも大きいでしょうね。また、ジョアン・ミレッGKコーチも非常にクオリティーの高いコーチですし、彼の影響もあると思います。また、マチェイ監督によるスタッフのマネジメント、組織のマネジメントも影響していると思います」と、その要因について話した。
そして、無失点でゲームを終えることの価値や、様々な指標のあるサッカーを分析するデータの中で重要視している部分についても33歳で新進気鋭のディフェンスコーチはコメントしている。
「無失点だから守備が良かったとみる人もいるかもしれないですけど、例えばハイプレスの後にゴールが取れるように、守備から攻撃につながることがある。サッカーでは無失点で終わると平均的に勝ち点2.5を得ることができる。ですので、まず失点しないのは非常に大事だが、相手からボールを奪って得点するのも非常に大事なことです。
そして、もちろんまずは得失点の数字を見ます。試合を見ている方の多くはポゼッションも気にすると思うけれども、指導者としてはゴール期待値につながる決定機のところが重要になってくると思う。どれくらい作れたのか、どれくらい作られたのか。あとは、ペナルティーエリア内への侵入も大事だと思う。例えばこの前のゲームで、浦和は23回でマリノスは7回だった。これを見ると、どちらが上回っていたかと感じることもできる」
先日の横浜F・マリノス戦(0-0)についてもデータに触れつつ話していた。ゴールを守る力がJ1でトップレベルであることを証明している浦和だけに、より得点につながるボール奪取を増やしていけるかどうかはシーズン後半戦のポイントになりそうだ。
(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)