宮澤ひなたに続け!なでしこジャパンの「シンデレラガール候補」5人 温存の可能性も…“初見殺し”の秘密兵器は?【コラム】

シンデレラガールの候補たちに注目【写真:Getty Images & ロイター】
シンデレラガールの候補たちに注目【写真:Getty Images & ロイター】

日本はベスト8に進出

 オーストラリアとニュージーランドで行われている女子ワールドカップ(W杯)も準々決勝を迎える。“熱男”こと池田太監督率いるなでしこジャパン(日本女子代表)はラウンド16で、FIFAランク1位のアメリカをPK戦の末に破ってきたスウェーデンに挑む。ここまで5得点、3度のPOM(プレーヤー・オブ・ザ・マッチ)を獲得したMF宮澤ひなた(マイナビ仙台レディース)などの躍動が目立つが、ここからスウェーデン戦、さらに先の戦いを勝ち進むには”シンデレラガール”の台頭が不可欠になってくるはず。そうなり得る候補5人に注目した。(文=河治良幸)

【注目】白熱するJリーグ、一部の試合を無料ライブ配信! 簡単登録ですぐ視聴できる「DAZN Freemium」はここから

   ◇   ◇   ◇

■藤野あおば(日テレ・東京ヴェルディベレーザ)

 現在19歳。第2戦のコスタリカ戦で、女子W杯におけるなでしこジャパンの最年少得点記録を打ち立てるなど、1得点2アシストを記録しているが、彼女のポテンシャルを考えれば、ここからのスーパーブレイクが夢ではない。ボールを持った時の推進力はチーム随一で、しかも周りの状況を瞬時に感じて、その時の最良のプレーを繰り出していけるのは大きな強みだ。今大会を皮切りにパリ五輪、4年後のW杯で中心になっていくべきタレントであるだけに、主力アタッカーの1人としてチームを勝利に導く活躍が期待される。

■清家貴子(三菱重工浦和レッズレディース)

 ザンビア戦とコスタリカ戦に途中出場して試合をクローズしたが、スペイン戦とラウンド16のノルウェー戦は不出場だった。鋭い縦の仕掛けやフィニッシュで違いを見せられる選手であり、まだまだ大舞台で真価を発揮しているとは言い難い。左右サイドで攻撃的なプレーができ、ジョーカーとしての効果も大きい。2011年の優勝メンバーでもある大先輩のDF安藤梢からは「最後においしいところを持っていけばいい」とポジティブな声を掛けてもらったという。強豪との対戦しかない残り3試合でゴールを打ち破る有力候補だ。

■千葉玲海菜(ジェフユナイテッド市原・千葉レディース)

 ”千葉の千葉”が世界を驚かせるのはここからだ。池田監督が信頼を持って選んだというW杯メンバーの中ではサプライズの1人だっただけに、ジョーカーとしての起用がメインになることは大会前から想定できた。しかし、ここまで出場はザンビア戦の後半アディショナルタイムだけで、本人もうずうずした気持ちがあるだろう。162cmと小柄ではないが、重心の低いドリブルは独特で、スウェーデンのセンターバックをはじめ、大型のディフェンスには厄介な存在でしかない。しかもパンチ力のあるシュートを備えており、”初見殺し”の効果も絶大で、池田監督はここからの勝負に温存していたとも考えられる。

■石川璃音(三菱重工浦和レッズレディース)

 昨年のU-20女子W杯で準優勝を支えたディフェンスのタレント。172cmのサイズに身体能力、勇敢なメンタリティーで相手アタッカーに立ち向かえる。そのポテンシャルの高さはザンビアとの初戦で快速FWバーバラ・バンダを止めたことでも証明したが、3バック右はコスタリカ戦で三宅史織(INAC神戸レオネッサ)、スペイン戦とノルウェー戦は浦和の同僚でもある高橋はなが起用されて、ベンチから見守る形となった。ノルウェー戦で池田監督は終盤の投入も考えたようだが、178cmのフリドリーナ・ロルフォが左のアタッカーを担うスウェーデンとの戦いはもちろん、強烈なアタッカーが揃う相手ばかりになってくるので、石川の出番は必ずやあるだろう。

■浜野まいか(ハンマルビーIF)

 藤野、石川とともに昨年のU-20W杯で活躍し、同代表を兼任していた池田監督に引き上げられた1人で、イングランドの強豪チェルシーと契約。そこからスウェーデンのハンマルビーに期限付き移籍している。今大会は最年少メンバーとして期待されたが、大会前に左肩を痛めて別メニュー調整が続いていた。ノルウェー戦では最後に交代出場を告げられてピッチサイドで待っていたが、そのままタイムアップ。「短い時間でも雰囲気と大会をというのはありました」と池田監督は振り返るが、ここから先の起用を見込んでの選択だったことは間違いない。9日の練習中に再び肩を痛めたという現地情報もあるが、前日練習では元気な姿を見せた。明るいキャラクターでも知られる浜野。変幻自在のドリブルからなでしこジャパンの未来を切り開くゴールに期待したい。

page1 page2

河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

今、あなたにオススメ

トレンド

ランキング