スライディングブロックには「リスクがある」 J2で起きた“支え手ハンド”、元日本代表戦士ら見解「ルールとは別の話だが…」
坪井氏は闘莉王氏とのエピソードを交え見解「『滑るな!』とコーチングをする」
スポーツチャンネル「DAZN」の判定検証番組「Jリーグジャッジリプレイ」で、8月5日のJ2リーグ第29節、ファジアーノ岡山とFC町田ゼルビアの試合が取り上げられた。ここでは、スライディングの際にあったハンドの反則が議論された。
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後半20分、岡山が攻め込んでペナルティーエリア内でMF末吉塁がラストパスを出したところ、スライディングでブロックに来たDFチャン・ミンギュの手にボールが接触。笠原寛貴レフェリーはハンドの反則としてPKの判定を下した。
ゲスト出演した元日本代表DF坪井慶介氏は「(手に)当たってはいる。では、どうやってスライディングするのか。僕は何度かこの問題をやっているけど、対応するときに後ろに手を組んでクロスに対応する選手もいるけど、すごく不自然な動き。スライディングも片手を突いていくのが自然な動きなので、何とかならないのか。滑った後の支え手が伸びていればハンドだと思うけど、曲げたままで体を支えるためのままなので、ハンドではなくていいと思う」と話す。
同じくゲスト出演した同GK山岸範宏氏は、「チャン・ミンギュ選手もできるだけ(手が)大きくならない配慮はしている。ハンドにならないように畳む配慮をしているけど、これで(ハンドを)取られてしまうと、どうスライディングをするのかという不自然さがあるので、僕の意見としてもハンドはかわいそうだと思う」と話した。
一方で坪井氏は「スライディングはしなくても良かった。寄せ方が上手でファーを切って、GKがニアを切れている。立って対応すればリスクを減らせた。ジャッジとは違う話ですが」とも話す。現役時代に浦和レッズと共闘した元日本代表DF田中マルクス闘莉王氏とのエピソードで「頭がいいので『滑るな!』とコーチングをする。ハンドになる、かわされる、足がかかってPKになるリスクがある。後ろの選手が準備できているときに、滑るなというコーチングがあればもっといい対応ができたと思う」と話した。
山岸氏は、このような場面の対応について問われると「スライディングは最終手段。ファウルのリスクもあるし、死に体になって次のプレーが遅れる。この角度からくるボールなら、ファーを切ってもらってニアは任せろというのが、一瞬のコーチングではなく日々の積み重ねで、守備の約束事で考えなくても自動的に動けるか、染みついているかが大事。それはルールとは別の話ですが」とコメントした。
家本氏は「多くのレフェリーはハンドと言うだろう」とレフェリー目線の見解を示す
元国際審判員・プロフェッショナルレフェリーの家本政明氏は、「ハンドでなくてもいいのではないかと理解している」とした一方で、「多くのレフェリーはハンドと言うだろうと思う。主審は素晴らしいポジションにいて、主審から見ると手を使ってボールをかっさらったように見える」と話した。
そのうえで「どうやってスライディングにいけばいいのかということではなく、坪井さんや山岸さんの話があったように、タックルに行くこと自体がリスク。防ぐメリットも大きいけど、反則になるリスクがある。どうやってタックルに行けばいいかではなく、そもそもの話を理解した方がいい」と見解を示す。
「確かに支え手だしそれほど大きく広げてはいないが、このくらい広がっている。(立ち上がって)こうやって寄せていって、ここにシュートが当たったら印象はどうか。ハンドの印象が強いはず。ボールに対して不自然に大きくしているのかという点では、そう理解するレフェリーが多く、ハンドと解釈されてしまった。競技規則から見れば主審の解釈が乖離してはいないし、判断はサポートできて、そう判断するレフェリーが多いと思う」と総括していた。