ネイマールの様子がおかしい? カメラ向けても浮かない表情、日本でご機嫌だった1年前との明らかな違い【コラム】
【カメラマンの目】PSGジャパンツアーで来日も、アル・ナスル戦では出番なしに
キリアン・ムバッペがジャパンツアーのチームに帯同しなかったパリ・サンジェルマン(PSG)にとって、最大のスターはエースナンバー10番を背負うネイマールだ。対するアル・ナスルの注目選手は言うまでもなく、その存在を示すいつもの背番号7番のユニフォームに袖を通すクリスティアーノ・ロナウドだった。
昨年のカタール・ワールドカップでも実現しなかった2人のスター選手の対決を観客たちは期待していたことだろう。しかし、ロナウドはキャプテンマークを巻いて先発出場を果たし後半21分までプレーしたが、ネイマールは最後までピッチに立つことはなかった。
38歳にして鍛え上げられた肉体を誇るロナウドのランニングフォームは美しく、相手DFと争うヘディングの際の跳躍力も高く身体能力は衰えていない。だが、ここにボールを扱うサッカーをプレーするとなると、今のロナウドでは思いどおりとはならない場面がないわけではない。この試合でも相手DFを無力化してしまう高速ドリブルは影を潜め、ネットに突き刺さる火の出るような強シュートを放つこともなかった。
それでもオーバーヘッドで果敢にゴールを狙い、味方の好プレーには笑顔で拍手するなどチームに溶け込んでいる様子で、その一瞬を切り取った姿は“絵”になり、中東の地でも成功を収めようとする行動力と野心は称賛に値する。
対してネイマールだが試合前にベンチに座る彼にカメラを向けると、盟友のマルキーニョスと笑顔で話す場面も見られた。しかし、だ。試合が始まってもベンチに座るブラジルのスターを気にかけ、望遠レンズを装着したカメラを何度も向けたがファインダーに写ったネイマールは終始、浮かない表情を浮かべていた。
履いている靴がスパイクではなくウォーミングアップシューズだったため、この日はプレーしないことが前提だったようだが、もしかしての期待を込めて後半はPSGの攻撃側のゴール裏でカメラを構えて待った。しかし、スタンドからのプレーを臨むネイマールコールも届かず、彼がピッチに立つことはなかった。
右足の負傷もあり万全の状態ではないのは明らかだ。試合後、調整のためのランニングでようやくピッチに立ったネイマールにカメラのシャッターを切った。試合が終了してもスタンドを離れないファンに手を振る姿から察するに、精神的にもクリアな状態ではないのか、やはり表情はどこか寂しげだった。
昨年のジャパンツアーでの対浦和レッズ戦でベンチスタートとなった際に、ネイマールに声をかけるとポーズを取ってくれた写真がある。その時の表情や振る舞いと比較しても今年のネイマールは活力に溢れていない。練習着の上からでも肩から胸にかけての身体つきは絞れていない印象だ。コンディションは決して万全ではない。
PSGのジャパンツアーは7月28日にセレッソ大阪戦、8月1日にはインテル・ミラノ戦の2試合が控えているが、この日のネイマールを見る限りプレーするとしても、その時間はかなり限定されるのではないだろうか。
徳原隆元
とくはら・たかもと/1970年東京生まれ。22歳の時からブラジルサッカーを取材。現在も日本国内、海外で“サッカーのある場面”を撮影している。好きな選手はミッシェル・プラティニとパウロ・ロベルト・ファルカン。1980年代の単純にサッカーの上手い選手が当たり前のようにピッチで輝けた時代のサッカーが今も好き。日本スポーツプレス協会、国際スポーツプレス協会会員。