悲痛の中村憲剛、15秒間もの沈黙… 悲願の夢潰えるも川崎サポーターから送られた温かいチャント
川崎がCS準決勝で鹿島に0-1敗戦
誰よりも優勝を望んだ、誰よりも闘志をむき出しにした、誰よりもチームの歓喜を願った――。しかし、中村憲剛の冒険は、志半ばで潰えることとなった。
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川崎フロンターレは23日、チャンピオンシップ(CS)準決勝で鹿島アントラーズと対戦し、ホームで0-1と敗戦を喫した。
負傷明けのため、中村はこの日ベンチスタートとなったが、先発出場のFW長谷川竜也が負傷したため、前半21分に途中出場した。万全のコンディションではなかったものの、前線で体を張ってボールをキープし、果敢に攻め入ると、チャンスを演出。川崎の偉大なるキャプテンはピッチに立ったその瞬間に、目に見える闘志と存在感を発揮した。
しかし、リーグ最多68得点を叩き出した自慢の攻撃は鹿島の堅牢な守備網を打ち破れずに沈黙。後半5分に奪われた1点に泣き、川崎は終戦のホイッスルを聞いた。試合後、ミックスゾーンに現れた中村は、誰もが分かるほど虚ろな表情を浮かべていた。記者の質問に対しても、なかなか口を開かない。15秒ほどの沈黙を経て、ようやく言葉を絞り出した。
「今は……今は、何も考えられない。喪失感が大きすぎて。サポーターは良い雰囲気を作ってくれた。でも……結果は結果。それだけだから……」
そう口にすると、中村は足早にスタジアムを後にした。普段は勝敗に関係なく誰よりも丁寧に取材に答え、最後にスタジアムを出るのが常だった。この日は、迎えた終焉をすぐに受け入れることができなかった。中村にとって、それだけ強く望んでいた悲願だった。
風間政権の最後のシーズン。「風間さんのサッカーで最後に優勝したい」。そう言い続けた中村にとって、この敗退はあまりに辛すぎる現実だった。
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