ハリルJが見せた“2つの顔” ボール保持率「20%ダウン」が招いたサウジ戦後半の失速
高い位置からの守備を徹底
次は守備面に目を向けてみたい。日本のボールロスト数は、前後半それぞれ39本ずつで合計78本だった。それに対しサウジアラビアは前半48本、後半52本で合計100本のボールロストがあった。
両者で大きく異なるのが「ロストした位置」だ。日本は前半9本、後半8本を自陣で失っている。前後半で16本、全体の20.5%を自陣でロストしたことになる。一方のサウジアラビアは前半20本、後半19本、合わせて39本、全体の39%を自陣でロストしていた。
ボールロストのデータは、相手チームにとっての「ゲイン=ボールを奪う」というプレーの裏返しだ。つまり、日本は自陣の危ないエリアでボールを奪われず、敵陣で相手のボールを多く奪えていたことを示すデータだ。
サウジアラビアがボールをロストした位置を示した図を見てみよう。左が前半で、右が後半だ。
日本のボールの取りどころははっきりしている。黄色い線で囲った、ミドルゾーンのサイドのエリアだ。サウジアラビアがボールを蹴ってこないチームだということは、事前のスカウティングで分かっていたはずだ。そして日本が自陣ゴール前の守備に課題を抱えていることも当然分かっていたはずなので、この日のゲームでは自陣までボールを運ばせないようにするために高い位置からの守備を徹底したことが、このデータに表れている。
高い位置でボールを奪うために最も重要なことは、どこにボールが運ばれてもファーストディフェンダーがいち早くボールに寄せられること、そうした際にカバーに入る選手がしっかりとしたポジションを取れること、そのための適正な距離感を保つことだ。即ちチーム全体が「コンパクト」であることがとても重要になってくる。