東京Vの大学生、Jデビューからわずか46分間で1G1A 監督からも「信頼」…20歳アタッカーは何者か
東洋大学3年在学、MF新井悠太がはつらつプレーで流れ一変
東京ヴェルディは、7月9日に行われたJ2第25節で首位のFC町田ゼルビアと対戦し、2-2で引き分けた。前半2分にFW藤尾翔太に先制ゴールを許し、同38分にも追加点を挙げられたなか、東京Vはボールを保持して攻めたが、なかなか町田の堅守を崩せなかった。
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そうした状況を打破するきっかけを作ったのが、後半21分に投入されたMF新井悠太だった。すでに2025年の加入が発表されている新井は、東洋大3年生であり、今シーズンは特別指定選手として東京Vに加入。前節のV・ファーレン長崎戦の後半23分に途中出場でJ2デビューを果たすと、試合終了間際の同44分にJ初ゴールを挙げていた。
この試合でも、新井はピッチに立つと、左サイドから得意のドリブルで何度もチャンスを作る。まずは後半25分、左サイドを縦に突破してからエリア内でシュートを放つと、ボールはポストに嫌われる。その直後には、中にカットインして右足でシュートを放ったが、GKに阻まれた。
もっと早い時間帯に出していても面白そうだったが、城福浩監督は「(新井は)強化指定で4、5日しか一緒にトレーニングをしていない。彼を投入するのは、ある意味、緊急事態ではあるんですけれども、彼のドリブルとキックは信頼している。あのビハインドの状況では入れざるを得なかった。いつ入れるかは、チームとして積み上げてきた守備、チームとして積み上げたコンビネーションがあったので、それと彼の特徴の兼ね合いで、あの時間帯になった」と、説明した。
当の新井は「自分がリズムを変えてやろうという気持ちより、チームが良い方向にいけばなという気持ちで試合に入りました。流れができたというのは、良かったと思います」とコメントし、「前節の得点のシーンのイメージがあったので、何本か良い形でシュートを打てました。それが結果につながってこなかった」と悔しがった。
それでも新井の投入は東京Vの大きな後押しになる。後半28分に1点を返すと、その10分後には新井が左サイドを突破して、左足でクロスを上げる。これにMF染野唯月が合わせて2点目を記録し、同点に持ち込んだ。
「大学を辞めてまで、プロに来ることは考えてもらえません」
それでも新井に満足感はない。「結局のところ、2-2で勝ち切れずに終わってしまった。これからこうした世界で戦ううえで、毎試合自分が点を取るという意味ではなく、転がってきたチャンスをいかに確実に決めきれるか。確実にこういった勝負の舞台ではカギになってくると思うので、満足せずにもっともっとやっていきたい」と、逆転につなげられなかったことを悔しがった。
大学在学中にプロ選手へ転向した選手も過去にはいるが、新井は「大学を辞めてまで、こっち(プロ)に来ることは考えてもらえません。大学に入れてもらって、学費も払ってもらっている。そこは親に敬意を払って、ちゃんと卒業してからヴェルディに入団したい」と、口にした。
プロでの2試合を終えて「自分のやってきたことが、ちゃんと出せている面もありますし、その意味では大学サッカーもレベルは低くないとも感じます。ただ、細かい面でフィジカルやクレバーさは違う部分もあるので、そこら辺が経験できたのはいいと思う」と、経験を積めていることに充実感を漂わせる。
9日のプレーは、すでにSNSなどを通じて拡散されて、日本以外でも話題となっている。この日の国立競技場のオーロラビジョンでも、町田のホームゲームであるにもかかわらず、何度も新井の姿が大きく映し出された。Jのピッチに立って、まだ46分間しかプレーしていない若武者のサッカー人生が、今、大きく動き始めている。