J2町田・黒田監督の“国立決戦” 聖地で「絶対させない」と誓った高校監督時代の苦い思い
東京Vとの首位攻防戦で2-2ドロー、国立に対する特別な思いに言及
FC町田ゼルビアは、7月9日に行われたJ2第25節の東京ヴェルディ戦を2-2で引き分けた。改修後、初となる国立競技場でのJ2リーグ戦。町田の指揮を執る黒田剛監督は、青森山田高校時代にも何度も立った国立に対する特別な思いを口にした。
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東京Vは2位という追う立場であり、町田以上にJ2優勝に向けて勝利が必要な状況にあった。また、中心選手でもあるMFバスケス・バイロンを町田に引き抜かれていたことも、この試合で必勝を誓った一因になっただろう。
そうしたことも黒田監督は、想定していたようだ。「かなり理性を失いながら入ってくる、または噛みついてくる状態が、今日も相当にあったと思います。ああいう状況を想定するなかで、我々はもう1つ大人のチームになっていく。J1を目指すのであれば、そういうことに、いちいち一喜一憂するのではなく、しっかり切り替えを早くして、そういうことには関わっていかない。選手たちをあくまでも冷静に、平常心でサッカーをしていこうと送り出しました」と、この試合に臨むうえで選手たちに伝えていたことを明かした。
試合は開始2分で町田が先制。この勢いで前半38分にも加点し、2点のリードを奪った。黒田監督は試合後、青森山田高の監督時代に国立の舞台で味わった経験を踏まえながらこう振り返った。
「これまでも国立というピッチにおいて開始10分で先制されて負けてしまったとか、波に乗れずにスタートで一気に走られて何かをされるという負け方を経験している。そういう入り方を絶対にさせないように、冷静に対応させるように促しました。そういった形で前半の入りが良かった。ただ、後半の入りが良くなかった」
勝ち点で東京Vを引き離すことはできなかったが、「これはリーグ戦。これが最終戦でもないので、勝ち点1をポジティブに捉える」と言い、「反省材料を多く持ちながら、次の試合に向かっていくこと。こういう足踏み状態のほうが、ポジティブになると思う。それに関しては選手全員に上を向いて、次の秋田戦を迎えようと話をした」と語った。
また、今シーズンのクラブの動員数を3倍以上も上回る3万8000人を超える観衆が集まったことに対して、「今の町田の勢い、今のいろんなものに対しての期待に対して集まってくれたと思う。もっと良い形で町田のサッカーを見せることができて、勇気や感動を与えられるゲームを作れるように。そして、この国立のピッチでサッカーをやることに恥じることのないように、まだまだ強い町田にして行けたらなと思います」と、決意を新たにした。
その観衆の中には、昨年まで黒田監督が率いていた青森山田高のサッカー部の選手たちもいたが、「若い子供たちも含め、夢や感動を与えられるようなサッカーを追求していきたいと思う。サッカーの形はいろいろあるにせよ、何が良いとか、悪いとか、いろんなサッカーがあることが面白い。だけど、そのなかにやっぱり必死にボールを追いかけたり、身体を一歩踏み込んで、投げ出したり、身体を張ったり。そういうことが、サッカーの1つでもあるわけだし、そんなところを彼らが1つでも勉強してくれたらありがたい」と、将来のある若い選手たちにも、プロの試合から感じ取ってもらいたいことを語った。