イニエスタ、苦境に悩んだ日々を吐露「数か月確かに難しかった」 モチベーションを保った秘訣は「次に向けて」

神戸を退団するアンドレス・イニエスタ【写真: (C)VISSEL KOBE】
神戸を退団するアンドレス・イニエスタ【写真: (C)VISSEL KOBE】

ラスト試合は先発で57分間プレー

 ヴィッセル神戸の元スペイン代表MFアンドレス・イニエスタは7月1日、J1リーグ第19節北海道コンサドーレ札幌戦でラストマッチを迎え、先発出場で57分間プレーした。1-1で引き分けた一戦で、前半からイニエスタらしいパスやシュートを披露。退団セレモニーでは大粒の涙を見せたイニエスタは、今季の数か月間苦しい日々を過ごしたことを明かした。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小杉舞)

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 トップ下に入ったイニエスタがまず見せたのが前半34分、右サイドでふわりとした浮き球パスでチャンスを演出。これはDF酒井高徳に通らなかったが、最終ラインの裏を突くイニエスタらしいパスとなった。続く同36分には、ペナルティーエリア内で相手DFを1人かわしてシュート。だが、惜しくもDFにブロックされてしまった。

 後半もピッチに立ったイニエスタ。ハーフタイムからはFW大迫勇也も投入されたなか、開始20秒で大迫が倒され約20mでFKを獲得。イニエスタがキッカーを務めると、ゴール前へのボールは味方に合わなかった。

 そして、イニエスタにとって神戸のピッチに終わりが来る。同12分にMF佐々木大樹と交代が告げられると、満員のスタジアムから大歓声が送られた。主将マークを取り、MF山口蛍へ渡すと佐々木とハグしてピッチに一礼。札幌のミハイロ・ペトロヴィッチ監督と約5秒間の熱い抱擁を交わした。57分間のプレーで日本での最後の試合を終え、チームは1-1で引き分けた。

 試合後の退団セレモニーではサプライズで家族が登場し大粒の涙を流した。スピーチ後に場内を一周すると、ゴール裏のスタンドまで上がり、サポーターとハグ。1人1人とハイタッチするなど、ファン・サポーターを大事にするイニエスタらしい最後となった。

 この日が今季4試合目の出場。シーズン初めてのスタメン起用となった。世界的スターのイニエスタにとって大きな壁に「この数か月は確かに難しかったし自分の中でも消化するのが難しい時間だった。そのなかでも日々のモチベーションを見出していかなきゃならなかった。それはスポーツへのリスペクト、クラブやチームメイトのリスペクト。日々のトレーニングの中で最大限のモチベーションを持つことが大切だと思ってきた」と、自身を奮い立たせて練習場へ顔を出していたことを明かした。

 それでも出番はなかなか訪れなかった。この日までの3試合でプレー時間はわずか35分間。そんな時にはさらに先を見た。

「この状況は自分にとって次に向けてのモチベーションにもつながった。日々の中で自分はまだできる。選手として戦う準備ができていると感じてきた。ただ監督はそのように考えていなかったというなかで、自分としてはサッカーを続けるモチベーションにつながった。ここに残ったら達成するのは難しいというところで1歩を踏み出した」

 新天地の状況は「まだ分からない」と話すイニエスタ。日本の次のキャリアを歩むのがどこであっても、卓越したプレーは見られることだろう。

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