「ほかの人からしたら普通の実力」 三笘薫の努力の原動力となった「後悔」は?
初の著書出版で記念トークイベントを開催
イングランド1部ブライトンに所属する日本代表MF三笘薫は、自身初の著書となる「VISION 夢を叶える逆算思考」で、後悔したくない気持ちが努力をする原動力になったと記している。
三笘のキャリアを見ると、順風満帆のように見える。筑波大卒業後には川崎フロンターレに加入。1年目からJ1リーグ新人年間最多得点記録の13ゴールを挙げる活躍を見せ、東京オリンピックにも出場。2021年にA代表デビューを果たすと、翌年のカタール・ワールドカップ(W杯)でも全4試合に途中出場した。ベルギー1部ロイヤル・ユニオン・サン=ジロワーズでレギュラーとして活躍したのち、2022-23シーズンにはイングランド1部ブライトンでも公式戦41試合に出場し、10得点8アシストを記録している。
そんな三笘にとって、努力をする原動力になった「後悔」とは何なのか。
「サッカーをしている以上はやっぱり(良くも悪くも)結果がついてきます。小さい頃に、例えば食事で変なものを食べて試合をした時に、パフォーマンスは悪くなったっていうような後悔があったりしました。そういう後悔というのは自分にしか分からない後悔ですが、ほかの人からしたら、それが普通の実力だと思われてしまう。それも悔しいこと。でも、それは防げることでした。そういう小さな後悔を積み重ねていって、もったいないなと感じました。日々を過ごしていくと、その日は帰って来ない。1日の最後に寝る時に後悔したくないと思っているのですが、後悔することがあったからこそ、徐々にそういう思いが生まれてきました」
1対1の自信は「練習でたくさんつけていけばいい」
自身の重ねた「後悔」から学んだという三笘は、失敗を恐れずに仕掛けていく重要性も説いている。川崎フロンターレで新人王を獲得し、国内でプレーを続ける選択肢もあったなかで、当時は日本代表でもプレーしていないため、プレーできるかも不透明だったイングランド1部ブライトンへの完全移籍を決めた。一歩を踏み出す選択も、「後悔」をしないためのものだったと明かした。
「(何かを踏み出す決断をすること)それは小さい頃に掲げた目標とか夢を振り返ることが、すごく大事だと思っている。小さい頃は純粋にサッカーを楽しんでいた。徐々に大人になるにつれて、いろんな弊害があったりして、楽しめなくなってくるというのはあるあるです。欧州移籍のチャンスを得た時も、フロンターレである程度結果は出ていたし、試合にも出ることができていた。そこから試合に出られないところに行き、言語も通じないところに行くことには怖さもありました。
でも、やっぱり小さい頃に、なんでサッカーを始めたんだろうということをまず思い返して、このチャンスがまた来るかどうかもしっかり考えて、サッカー人生が終わった時に後悔をしないかを考えて一歩を踏み出しました」
ピッチ内で1対1を仕掛ける時の心境について、「今も1対1で取られるのは怖い。いろんな抜き方を知って、いろんなバリエーションで練習をしていくと、ある程度の自信はつく。自信がついてきた時に仕掛けているだけ。自信がない時はバックパスをしています。怖いけど、行けるという自信がある時は行く。その自信を練習でたくさんつけていけばいい」と明かして三笘は笑った。
ピッチ内外で後悔のないようにチャレンジを続けているからこそ、三笘のプレーは人々の心を惹きつけるのかもしれない。
(河合 拓 / Taku Kawai)