今後は浅野起用よりも“経験蓄積”を重視? 日本代表OBが1トップ争いに持論「上田や古橋を常時呼んで…」
【専門家の目|栗原勇蔵】古橋はペルー戦でも「いい動きはしていた」
森保一監督率いる日本代表は、6月シリーズの2試合でエルサルバドル代表に6-0、ペルー代表に4-1と快勝した。FW陣は上田綺世(セルクル・ブルージュ)、古橋亨梧(セルティック)、前田大然(セルティック)にゴールが生まれたなか、浅野拓磨(ボーフム)を含めた争いを、元日本代表DF栗原勇蔵氏が展望している。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)
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森保監督は6月シリーズで「4-1-4-1」システムを採用。15日のエルサルバドル戦では先発した上田がPKを奪取するなど1得点、途中出場した古橋もクロスにドンピシャで合わせたヘディングでゴールネットを揺らし、1トップに入った2選手が存在感を示した。
上田が怪我で離脱したなか迎えたペルー戦、先発した古橋はゴールこそなかったが、MF伊東純也(スタッド・ランス)のクロスに飛び込むなどチャンスに顔を見せ、後半16分からピッチに立った前田は持ち前のプレスから追加点を奪ってみせた。
今季スコットランドリーグで得点王(27ゴール)に輝き、昨年9月以来のA代表復帰を勝ち取った古橋。ノーゴールだったペルー戦に関しても、元日本代表DF栗原氏は「いい動きはしていて、伊東からボールも来ていた。あと一歩のところまでは行っていた」と語る。
「古橋は、1試合、2試合で評価しなければいけない選手ではない。ペルー戦では自分の一番いい態勢でボールを受けられなかった印象はありますけど、持ってるものは間違いないし、コンビネーション自体も悪くない。代表の環境に慣れてくれば、また違う結果が出てくるはず。場数を踏ませていきたいところです」
前田はペルー戦でゴールを決めて持ち味を発揮
ペルー戦前の練習では、左サイドでプレーしていた前田は、途中出場から結果を残した。昨年のカタール・ワールドカップ(W杯)で1トップに入り、前線からのプレスでチームに貢献したのは記憶に新しいが、栗原氏は「持ち味を出して、相手のミスも見逃さなかった」と評価する。
「あれだけスピードがあると、相手が少しでもミスをすればワンチャンス生まれる。やはり、そういう選手はチームに必要だと思います。前から守備をして、一本狙うのも1つのオプションでしょう」
エルサルバドル戦では右サイドでの起用でゴール前のチャンスを逃し、ペルー戦では出番のなかった浅野。カタールW杯のグループリーグ第1戦ドイツ戦(2-1)で決勝点を挙げた一方で、厳しい声も少なくない。栗原氏は「浅野は計算できる選手というか、これまでの活動の中で実力は分かっている」としたうえで、経験を積ませるべき選手、テストすべき選手がいる場合は、そちらにも目を向けるべきだと提唱する。
「もし、森保監督の中で試したい選手がいるのであれば、敢えて(浅野を)入れなくてもいいのかなとは感じます。クラブで結果を出している状況であれば、また呼べばいいわけなので。代わりの選手がいないのであれば、今は上田や古橋を常時呼んで、A代表で経験を積ませることが大事だと思います」
森保監督が9月のドイツ戦以降、どのような起用をするのか注目が集まる。
栗原勇蔵
くりはら・ゆうぞう/1983年生まれ、神奈川県出身。横浜F・マリノスの下部組織で育ち、2002年にトップ昇格。元日本代表DF松田直樹、同DF中澤佑二の下でセンターバックとしての能力を磨くと、プロ5年目の06年から出場機会を増やし最終ラインに欠かせない選手へと成長した。日本代表としても活躍し、20試合3得点を記録。横浜FM一筋で18シーズンを過ごし、19年限りで現役を引退した。現在は横浜FMの「クラブシップ・キャプテン」として活動している。