選手ありき? 戦術ありき? 森保ジャパンの「4-1-4-1」システムに日本代表OBが見解

日本代表OBが4-1-4-1システムに見解【写真:徳原隆元】
日本代表OBが4-1-4-1システムに見解【写真:徳原隆元】

【専門家の目|栗原勇蔵】両脇が開くアンカーには攻守に機動力が必要

 森保一監督率いる日本代表は、6月15日に行われたキリンチャレンジカップのエルサルバドル代表戦で6-0と大勝した。3月シリーズでスタート時に採用した4-2-3-1から、4-1-4-1に変えて戦ったが、元日本代表DF栗原勇蔵氏はシステムに関しての印象を語っている。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)

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 昨年のカタール・ワールドカップ(W杯)を終え、森保監督が続投となった日本代表。第2次政権の初陣となった3月シリーズはウルグアイ代表に1-1、コロンビア代表に1-2と未勝利に終わり、今回の6月シリーズを迎えた。

 森保監督はエルサルバドル戦で、それまでの2試合で採用した4-2-3-1から4-1-4-1に変更してスタート。試合開始わずか10秒でMF三笘薫(ブライトン)が倒されてフリーキックを獲得。キッカーのMF久保建英(レアル・ソシエダ)がDF谷口彰悟(アル・ラーヤン)の頭に合わせる華麗なアシストをして電光石火の先制点を奪った。直後には、相手DFロナルド・ロドリゲスが退場となって得たPKでFW上田綺世(セルクル・ブルージュ)がA代表初ゴールを挙げて追加点。数的有利な状況で前半25分には三笘のパスを久保が左足で決めて国際Aマッチ2ゴール目を挙げた。

 前半終了間際には三笘のシュートをGKが弾き、こぼれ球に詰めていたMF堂安律(フライブルク)が決め切り4点目。そして後半15分、久保が相手の股を抜くパスで途中出場のMF中村敬斗(LASKリンツ)の初ゴールをお膳立てした。

 1トップに上田、左ウイングは三笘、右ウイングが久保、インサイドハーフに旗手と堂安が入り、攻撃陣は東京五輪に出場したメンバーが占めた。そのなかで、元日本代表DF栗原氏はまず、4-1-4-1はアンカーの脇が狙われやすいシステムであることを指摘する。

「4-1-4-1はアンカーに守れて、攻められて、動ける選手が必要なシステムです。その両脇を使われれば、一気にピンチになる。インサイドハーフが降りて3枚が並んだりもしますが、守田や遠藤航(シュツットガルト)への期待は大きいと思います。強豪相手に使うのは、正直怖いですよね。ボールを握れればなんの問題もないですけど」

攻撃陣のタレント起用を重視で4-1-4-1を選択?

 エルサルバドル戦は開始早々に相手が10人になってしまい、選手のプレーやシステムの出来を測るモノサシとしては物足りないものになってしまったが、栗原氏は、今後の試合で森保監督の“狙い”がより色濃く出てくることに期待する。

「選手ありきで4-1-4-1にしているのか、意図する戦術を目指して4-1-4-1にしているのかが見えてくれば、面白くなってくる気がします。ボールを回して、縦に速いサッカーを目指すのが4-1-4-1では理想的。うしろからボールを配給できる選手がいれば、ワイドにも開いているので、回しやすいんじゃないかなと。正直に言えば、1.5~2列目の選手がダブついてるんで、(4-2-3-1よりも)1枚多く使いたいという意図は感じるし、選手がいるから、という側面が大きいのが現時点での印象です。逆に言ったら、遠藤がいるとはいえ、アンカーの選手が少し手薄な感じもします」

 4-1-4-1と4-3-3-の違いについては、「最初の立ち位置だけで動きながらも変わっている。守備の時は4-3-3なのかもしれない。だから、表現の仕方には大きな意味はないような気はします」と語った栗原氏。森保監督の今後の采配に注目していた。

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栗原勇蔵

くりはら・ゆうぞう/1983年生まれ、神奈川県出身。横浜F・マリノスの下部組織で育ち、2002年にトップ昇格。元日本代表DF松田直樹、同DF中澤佑二の下でセンターバックとしての能力を磨くと、プロ5年目の06年から出場機会を増やし最終ラインに欠かせない選手へと成長した。日本代表としても活躍し、20試合3得点を記録。横浜FM一筋で18シーズンを過ごし、19年限りで現役を引退した。現在は横浜FMの「クラブシップ・キャプテン」として活動している。

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