ザックジャパンの主力DF候補 森重真人が飛躍のために決別したもう一人の自分とは
「オレは変わったんですよ」
東京がJ2を戦った2011年から全体練習後、フィジカルコーチとピッチに残って足の運びを確認し、ターンを繰り返す地道なステップワークの練習をコツコツと重ねた。費やした時間は無駄ではなかった。徐々にその成果は表れ、カードコレクターの汚名を返上。11年以降は、出場停止試合が毎年1試合に減少している。
自ら「年間ワーストプレーヤー」と吐き捨てた自分と別れを告げ、2013年からは「キャラじゃない」と避けてきたキャプテンを任されるようになった。精神的にも成長を遂げ、FC東京を束ねる存在としてピッチに立ち続けている。
4つの「×」。それは、力を持て余していた森重に克己心を培わせる苦い薬となった。だが、そのおかげで彼は南半球への旅支度を整えることができたのだ。
「オレも変わったんですよ」
そう言って頬にエクボをつくる男は、充実のときを迎えようとしている。
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馬場康平●文 text by Kohei Baba