宮市亮、劇的V弾後に浮かんだ光景 蘇るリハビリの日々「日産スタジアムの階段を何度も上り下りして…」
柏戦の後半アディショナルタイム、歓喜の瞬間を回想「本当に嬉しかった」
自分の足を離れてコロコロと転がるボールを見ながら、横浜F・マリノスのMF宮市亮は、「入ってくれ」と願っていたという。
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J1第17節の柏レイソル戦は、壮絶な点の取り合いとなった。2-3と1点リードを許したなか、後半34分にピッチに立った宮市は、同点に追い付いた後半アディショナルタイム7分、MFマルコス・ジュニオールからのパスを受け右足でシュートを放った。ボールは相手DFに当たりながら、ゆっくりとゴールへと向かっていき、ネットへ吸い込まれた。
「本当に嬉しかったです。いろんな人の思いが乗ったゴールだったなと。だからこそ入ったなという感じでした」と得点を振り返り、ボールの軌道を見ていた時については「すごく時が止まったような感じで、『もう入ってくれ』という感じでした。でも、すごい回転がかかっていたので、僕の力じゃどうしようもないくらいでした。みなさんのポジティブな思いがボールに乗っかって、ゴールに入ったのだと思います」と、劇的なゴールを振り返った。
昨年7月E-1サッカー選手権に出場する日本代表に約10年ぶりに選出された。しかし、その大会で右膝前十字靭帯断裂の大怪我を負い長期離脱。そこから懸命なリハビリを経て、今年5月24日のルヴァンカップで約10か月ぶり(301日ぶり)の公式戦復帰を果たしたなか、このゴールが復帰後の初ゴールとなった。アディショナルタイム4分に追い付き、その間に相手のシュートがクロスバーに当たるなかでも、横浜FMはゴールを目指し続けた。
「ここが僕たちの強さ。絶対に最後の最後まで何が起こるか分からない。何かを起こせると心底みんなが信じている。その強さが出た試合だったかなと思います」
その諦めない姿勢を見せた結果、勝利を呼ぶゴールを挙げたのが、宮市だったことも大きかっただろう。MF水沼宏太曰く「日産スタジアムがこんなに揺れるように感じたことがなかった」というほどの熱狂に包まれた。
日産スタジアムを熱狂の渦に巻き込んだ宮市は、ゴールが決まった瞬間に浮かんできたのは孤独な戦いをしてきた自分の姿だったという。
「僕、リハビリでここを利用することが多かったんです。観客のいない日産スタジアムの階段を何度も上り下りしました。そういうところだったのが、景色が変わりました。お客さんがたくさんいて、ゴールを決めましたが、そのリハビリのシーンが蘇りましたね」
「まだまだシーズン途中だから頑張っていきたい」
VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)チェックが入ったものの、ゴールは認められた。「どのゴールも僕にとって大事ですけど、このゴールも本当に一生忘れることないゴールだと思います」という宮市は、自身のゴールが認められたことよりも、チームが得た勝ち点が1ではなく3になったことを喜ぶ。
「すごい感情的にもなっていましたが、何よりチームが勝てたことが大きい。あれで入っていなかったら、引き分けだったので。この勝ち点3が今後のシーズンにおいて大事になってくると思う。ただまだまだシーズン途中だから頑張っていきたい」
これまで何度も怪我に苦しめられてきた宮市。復帰後初ゴールを挙げて、シーズン後半戦はさらなる活躍も期待されるが、ブレることはない。「個人的にはあまり先を見ずに、1日1日を大切にして、もう離脱することがないように自分のケアを第一に考えてやっていきたい」と、ピッチに立ち続けることを誓った。