ソシエダファンの“リアル久保評” 伺えた愛着と信頼…所属2年目への課題は?【現地発】

今季リーグ戦9ゴールを決めた久保建英【写真:Getty Images】
今季リーグ戦9ゴールを決めた久保建英【写真:Getty Images】

スペイン4年目で最高のシーズンを過ごした久保をファンはどう見た?

 日本代表MF久保建英は、今季加入したスペイン1部レアル・ソシエダで、マン・オブ・ザ・マッチ(MOM)に計9回輝くなど大きな躍進を遂げた。「FOOTBALL ZONE」ではヨーロッパでプレーする侍たちの活躍ぶりに焦点を当てて特集。現地ファンに久保の印象を調査した。(取材・文=高橋智行)

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 ホームにセビージャを迎えた現地時間6月4日のラ・リーガ最終節に久保は先発出場し、22歳の誕生日を白星で飾ってスペイン4シーズン目を最高の形で締めくくった。

 ラ・リーガ4位、来季のUEFAチャンピオンズリーグ(CL)出場権獲得と、レアル・ソシエダサポーターのみんなが大満足する結果となったなか、本拠地レアレ・アレーナにこの1年、足を運び続け熱い声援を送ったサポーターたちに、今季の久保のパフォーマンスを10点満点で評価してもらった。

(写真右上)イバイさんと(写真左上)ペドロさんは久保を評価【写真:高橋智行】
(写真右上)イバイさんと(写真左上)ペドロさんは久保を評価【写真:高橋智行】

 家族で最終戦に訪れたイバイさんは、「もちろん10点だよ!」と即答。「タケ・クボは今季、ラ・レアルのベストプレーヤーだ。とても満足しているし、今季のパフォーマンスは本当に『凄い!』の一言に尽きる。運動量豊富であらゆるエリアに顔を出して、攻撃では相手の守備網を切り崩し、守備では前線で絶え間なく相手DFにプレッシャーをかけ続けた。攻守にわたってすべてのことをやってくれたので10点を付けるよ。来季もあのパフォーマンスを維持できれば、10点以上の点数を付けないといけないだろうね。サポーターの誰もが、タケ・クボが今後もずっとラ・レアルでプレーを続けてくれることを願っている」と興奮気味に語っていた。

 子供と一緒に観戦に来たペドロさんは「私は8点かな。久保の活躍はもちろん凄かったと思う。でもそれは、周りにいる(ダビド・)シルバやミケル・メリーノ、(マルティン・)スビメンディ、(アレクサンデル・)セルロートなど、素晴らしい選手たちのおかげでもあるからね」とチームの支えがあってこその活躍だったという見解を示した。

ゴルカさん(写真右)は右サイドでの活躍を評価【写真:高橋智行】
ゴルカさん(写真右)は右サイドでの活躍を評価【写真:高橋智行】

 続いて、父親と一緒にスタジアムに来ていたゴルカさんは、「久保の仕事ぶりはファンタスティックだったので私の評価は9.5点だ。臆することなく相手と対峙するし、右サイドに大きく開いてパスを受けた際、得意のドリブルで相手のDFラインを突破するからね。前線での働きぶりは称賛に値するよ」と高評価した。

若者サポーターから見ても久保建英の活躍は際立ったようだ【写真:高橋智行】
若者サポーターから見ても久保建英の活躍は際立ったようだ【写真:高橋智行】

軒並み高評価、新シーズンへの期待も一層高まる

 次に話を聞いたのは、6人組の若者サポーター。ゴイコエチェアさんは「闘志あふれるプレーでチームに大いに貢献してくれたから僕の中では9点だ」と久保の戦う姿勢を評価。もう1人のゴイコエチェアさんも「僕も点数を付けるなら9点かな。ラ・レアルが今季獲得した中でも素晴らしい選手の1人、いや、今季最高の補強と言っていいだろうね。シーズンを通じて本当に凄いパフォーマンスだったし、驚かされたよ」と期待以上の活躍ぶりだったと感じていたようだ。

 シャバトさんは、「僕ならもうちょっと上の9.5点を付けるよ。間違いなく今季のラ・レアルでベストプレーヤーだからね。スピード感あふれるドリブルを度々仕掛け、最高のパフォーマンスを発揮していた」と称賛した一方、ウナイさんは「僕は8.5点だね。テクニックが本当に素晴らしく、シーズンを通じて攻撃面で際立っていた。でも、守備面で足りない部分があったような気がするから」と採点理由を説明した。

 ガビさんは久保のプレーだけでなく人間性にも惹かれているようで、「9点だ。攻撃面での貢献度がすごく高かったと思う。またタケ・クボはカリスマ性があるし、とても面白いところも好きなんだ」と、現地メディアのインタビューで久保が堪能なスペイン語でジョークを交えて受け答えする様子を気に入っていた。

ルイスさん(写真右)は来季への期待も口にした【写真:高橋智行】
ルイスさん(写真右)は来季への期待も口にした【写真:高橋智行】

 最後に話してくれたのは旧友とレアレ・アレーナを訪れたルイスさん。「久保のパフォーマンスに9点をつけたいと思う。昨シーズンまでは能力を発揮しづらいチームに所属していたけど、今シーズンはこれまで内に秘めていたものを解き放つことができて、並外れた選手であることを証明できたからね。そしてなによりもラ・レアルのユニフォームを着ることに誇りを感じていること! これは高く評価できる点だ。彼はもう立派なバスク人だよ」と笑みをこぼした。さらに、「来季、あと5点多く決めることができたら、みんな間違いなく10点を付けるだろうね」と、新シーズンへの期待を付け加えることも忘れなかった。

 サポーターは一様に、レアル・ソシエダ入団からまだ1年にも満たない久保の実力を認め高評価していたが、さらにその話し方や表情からは愛着を持っている様子が伺えた。開幕戦で決勝点を記録していきなりみんなの信頼を勝ち取り、ここぞという場面で幾度となく決定的な役割を果たしてきた実績を積み重ねてきたため、サポーターはみな、来季も久保がそのようなパフォーマンスを見せてくれると信じているはずだ。来季開幕は8月半ば予定。サポーターの期待を背負いながら、2か月後に久保のスペイン5シーズン目がスタートする。

(高橋智行 / Tomoyuki Takahashi)

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高橋智行

たかはし・ともゆき/茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、スペインリーグを中心としたメディアの仕事に携わっている。

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